和噺

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和魂洋才の噺

 

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        和噺   
                         R1/12/18
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僕の住む集落では、年末に「部落総会」というイベントがあります。別に、おどろおどろしいものではなく、集落の役員を決めたりとか、神社の管理の話とか、毎年の変わらないルーティーンですが、一応、一年で一番重要な会になります。出席は義務っぽくって、出席しないと、500円の罰金みたいなのがあります。まぁ、委任状にサインして誰かに託せば、出席しなくて構わないのですが。一世帯から一人が出席、全部で60世帯ぐらいあるうちの、出席が20、委任状が20、というスケール感です。
 
部落の運営のために、税金みたいなのもあるんですよ。「戸割(とわり)」って言っていますが。この計算が結構、綿密で、18歳から65歳までの男性は30点、女性は20点、18歳以下の子供は15点、65歳から75歳までは1点ずつ減っていって75歳以上は0点、それとは別に世帯ごとに基準点で20点、そして1点を70円として各戸の負担金を決定する、みたいな。あ、点数は適当ですけど、そんな感じ、っていうことで。我が家では、だいたい、5000円ぐらいの負担金になるのかな。たしか。
 
で、ここに加えて、道づくり(年に2回ある道路掃除イベント)に出ないと5000円、年末と年始の総会に出席しないと(委任状も出さないと)500円、その他のいろいろ、などが部落会計によって算出されて、〇〇家は〇〇〇〇円を部落に支払ってください、という通知が来ます。で、それを毎年、12月28日だっけかな、その日に部落の公民館に持っていって現金支払い。キャッシュレス5%還元とかはありません。現金オンリーでの支払いになります。
 
その部落会計を何に使うかというと、例えば、部落の役員の報酬。会計の人なら、年間1万円とか、そんなもんで、とても割に合うものじゃないですが。あと、運動会とか、道づくりとか、そういう部落イベントの後の飲食代とか、そういうのに回します。部落で管理している、道路の補修作業とかも、ね。そういう、数十万円ぐらいの、部落会計。地域でそういう運営をしているんです。
 
払わないと、どうなるか。別に、どうにもならないと思いますけど。まぁ、あの人はアレな人だから、って思われるぐらいでしょうか。たぶん、部落会計の徴収に法的な効力があるわけではないと思いますよ。よく田舎暮らしのトラブルであるような、高額な町会費を払わなくてどうのこうの、みたいな事例も見聞きしますが。うちの場合は、そんな高額でもないので、普通に支払って終わり、って感じだと思います。
 
まぁ、そういう部落総会ってのが、あるんですよ。ちなみに、前も説明したと思いますが、うちの周りでは、普通に「集落」や「村」ぐらいの意味で「部落」って言っています。部落という言葉には、被差別部落とか差別みたいな語感がありますが、特にそういう感じは無し。
 
で、部落総会。部落の一番エライ人ってのは「区長」さんって言って、区長手当てってのが自治体(町)から5万円ぐらい支給されるらしいですが、5万円では誰もやりたくない、という役割です。感覚的には、30万ぐらいでトントンじゃないの、とか思うけど。まぁ、色々と大変な役割です。で、区長さん、副区長さん、会計の三人が「部落三役」って言われていて、部落の執行部、みたいな役目なんですね。
 
その部落総会の、議事の進め方というのが、僕はとても面白く感じたのですよ。まず、部落三役以外の誰かを、議長として指名します。その人が、進行役を務めるのです。この議題について、意見のある方、みたいな。そしたら誰かが発言して、何か揉め事があった場合は、無記名投票で採決をとります。で、この議事進行の間、部落三役ってのは、基本的に発言しないんですよ。しちゃいけない感じ。黙って聞いていなきゃいけない。
 
この姿に僕は、日本のリーダー、というか、村長的な役割を見た気がしました。日本のリーダーというのは、皆の意見をまとめるだけであって、自分が何かを発言してはいけないのだ、と。意見を言うのは、下々の者なのですよ。村人たちが好き勝手に意見を言い、リーダーはそれを黙って聞き、バランス良くまとめ、従う。議長も、そうです。基本的に進行役なので、何も意見は言いません。でも、この議長は、ペーペーがなるのではなくて、それなりに地位のある人が、やるわけですよ。
 
つまり、部落の中で一番メインとなる、部落三役と議長は、議事において発言しては、いけないのです。すごいですよね。メインの人材は、発言権が無いんですよ。そりゃ綿密に無いわけでは無いでしょうが、無い雰囲気です。一番できる人が、何も言えない。すごいなと思います。
 
思えば、聖徳太子だって人の話を耳を傾けて聞いていたわけですよ。自分が何かをぺちゃくちゃと喋って、人を率いたわけではないんですよ。人の意見をよく聞き、皆がうまくまとまるような折衷案を出すというやり方だったのでしょう。これは、欧米式のリーダーシップとは対極の概念。耳の文化と、口の文化の違いです。
 
小学校の学級会とかも、そうじゃないですか。学級委員は、特に意見を言わないでしょう。みんなの意見を聞いて、採決をとって、物事を決める、進行役みたいな役割でしょう。小学校って、みんな横並びの日本文化なんだけど、今の大人の会社は欧米式リーダーシップを求めていて、中学校や高校は、その転換点にある。高校の生徒会が、選挙の立候補によって選ばれて、演説して投票して、みたいな、欧米式のリーダーシップを行なっているところも、多いですよね。
 
小学校で、日本式のリーダーシップ、つまり、人格のある生徒が学級委員に「推薦」されて、皆の取りまとめを行う。それに慣れて、それが当然だと思っていたのに、社会はそうじゃないから、欧米式で運営されているから、中学校や高校で無意識に転換していく。これは子供にとって、結構なストレスだと思いますけどね。いきなり中学校や高校で、独立した自我を求められる感じ。でも一方で、制服とかは没個性の日本式でありながら、その一方で欧米式の個性主義を求められる。アンビバレントです。
 
日本は明治以来の、和魂洋才問題をいまだに解決していませんから。日常生活や子供時代は、和魂、つまり、皆と仲良く没個性、意見をよく聞き、誰もがそこそこ幸せに、の社会。だけど会社などの組織、そしてそこに繋がる大学や高校などは、個人の才能を伸ばし、欧米式リーダーシップをとり、皆に意見を「言う」ことが求められる。洋才、というか「洋魂」だよね、魂のカラーが違うんですよ。そういうふうに、社会構造が分断してしまっている。無自覚に。
 
だから生きるのが大変なんですよ。で、どっちに揃えるのが得策かと言ったら、僕は、和魂ですよ。だって、これは縄文以来の、和をもって貴しとなす、の文化であり、それを一朝一夕に変えるのは難しいですから。変えようと思って変えられるものじゃないから、文化って。和魂のまま、できるだけうまく世界でやっていくための方策を考えるのが、よろしいのではないかと思う。でも、洋魂に染まった経営者は、それじゃいかん、という。洋魂に染まらなきゃ、世界で勝てない、と言う。
 
でもそれって、能力のある人とか、それに生まれつき向いている人には出来るけど、大半の人は出来ないし、苦しいんだよね。それが日本人。まぁ、僕は「洋魂」を持った、というか、持てる「エリート」を育成して、そいつらを外交や国政に当てて、大半の人が和魂で幸せに生きられるようにするのが良いと思いますけどね。日本人が、日本文化を保ったまま、幸せに生きられるのは、そういう道だと思うでごんす。そんな感じ。また明日。チャオ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
シェアハウスを運営しようと思うんですが、誰か、管理人として住み込みで移住したい人、いませんか? 4室あるシェアハウスの1室に住み、家賃補助する代わりに、ちょっとした掃除とかをしてもらう、みたいな感じ。
 
もう一つ、部屋貸しの、これは民泊的な物件を運用しようと思っています。9室あって、そこの管理運営。これも住み込みでやりたい人、いないかね。ずっとじゃなくて、とりあえず1年ぐらいでもいいんだけど。手ぶらで移住したい、田舎暮らしを1年ぐらい体験したい、でも仕事ない、そういう人に向けての、仕事と住居のセット
案件。ご検討よろしく!
 
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