和噺

まぐまぐで配信中のメルマガ「和噺」の過去ログです

話し合いの噺

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        和噺   
                         R1/12/10
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オーディオブックで井沢元彦さんの「日本史集中講義」を聞いていて、その中で面白い話がありました。というか、全体的にすごく面白い本だったのでオススメですけど、その中に、聖徳太子の十七条憲法の話があったんです。
 
和をもって貴(とうと)しと為(な)す。というやつですね。あ、いきなり余談ですが、このメルマガ(とかブログとか)のタイトルの「和噺」。読者さんからのメールで、日本的な心を目指す右翼的な志で「和噺」と思っていらっしゃる方が何人かいらっしゃいました。でも、そうじゃなくて、ただ僕の名前が「和」だ、っていうだけです。「のどか」って読みます。女の子みたいな名前ですが、721歳の紳士です。ま、僕が名付けたわけじゃなくて、気づいたらそう呼ばれていたのでね。とりあえず、そういうこと。
 
で、和をもって貴しと為す。僕は、十七条憲法の第一条って、それだけで終わりだと思っていたんですが、続きがあるんですって。てか、続きの方が重要っぽいとりあえず第一条の全文をコピペっときますね。
 
一に曰く、(やわらぎ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。人皆党(たむら)有り、また達(さと)れる者は少なし。或いは君父(くんぷ)に順(したがわ)ず、乍(また)隣里(りんり)に違う。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、すなわち事理おのずから通ず。何事か成らざらん。
 
以下、意訳。みんな仲良くしようよ、喧嘩とかやめようよ。実際さ、人間っていっぱいいるけど、ロクなやついないじゃん。なんかさ、礼儀もなってないとか、近所づきあいもろくにしないとか、そんなじゃん。だけどさ、偉いもんも、普通の人も、みんなで話し合えばさ、きっと正解にたどり着くからさ。大丈夫だよ。
 
的な感じかな。つまり、ここで大事なのは「話し合え」ってことなんですよ。和をもって貴しと為す、それはいいんだけど、そのためにどうするか。そのハウツーとして、話し合いだ、と。こう言っているわけですよ。聖徳太子は。で、それは第二条の「仏教を信じろ」と、第三条の「天皇に従え」よりも大切な、第一条。それが「みんなで話し合え」なんです。偉いもんも、下々のものも、みんな含めての話し合い。
 
井沢元彦さんは、日本文化の源流にあるのは「話し合い」である、と。そう言っていまして、なるほど、さもありなんだな、と思いました。いまだに「無駄な会議」とかよく言われるわけですが、一千数百年前のメンタリティから変わっていないといえば、変わっていない。つまり、みんなで話し合えば、きっと正解にたどり着けるはずだ、というのが、日本人の根本にあるのです。
 
もちろん、実際にそんなことは無いですよ。それは「神を信じれば何とかなる」とか「ニワトリの生き血を捧げれば何とかなる」と、同じレベルのことです。みんなで話し合ったって、正しい答えにたどり着けないこともある。
 
ただ、そういう因果関係で何千年やってきたのだから、無意識レベルで染み付いているのです。何千年というと、いや、十七条憲法は千数百年やんと思うでしょうが、その前から、そういう文化があったからこそ、十七条で明文化されるわけです。明文化される以前に、そういう文化は培われてきたのです。縄文の頃からの歴史でしょうね。
 
前に「日本は敗者の国である」という話もしましたが、大陸での戦いに敗れた人たちが集まってきたユーラシア大陸の果ての島だからこそ、戦いではなく、話し合いでどうにかしよう、という文化が生まれたのだと思います。学級会の話し合いに始まり、会議にしろ、御前会議にしろ、集落の寄り合いにしろ、話し合いこそが至上である、というのが日本文化。
 
ひょっとしてこれもそうかなと思うのが、電車の携帯電話。電車での会話禁止って、日本独自の文化です。諸外国には、ほとんど無いマナー。おしゃべりは良いのに、携帯での通話は迷惑となる。
 
ひょっとして、おしゃべりは「話し合い」だけど、携帯電話の通話は相手の声が聞こえないから、話し合いでは無い、一方的な演説みたいに聞こえる。それが日本人にとってストレスになるのではないか。なんて思います。縄文からの文化が、携帯電話禁止にまで繋がっていると想像すると、面白い。
 
ま、そういう文化は、欧米式のリーダーシップとは正反対ですね。リーダーシップは、話し合いでは、ありませんから。能力の高い個人の判断の方が、皆での話し合いよりも、優れているだろうという文化です。そういう根本の違いを見ずに、表面的に「リーダーシップを発揮しよう」とかなっちゃうと、これは無理ですから、難しいですよね。大変です。疲れちゃいます。それよりは、結論の出ない会議を延々と続けて「話し合いました」という相互確認を気持ちよくする方が、よっぽど健康的かもしれないですね。
 
──【おまけのはなし】────────
 
いや、昼に配信できませんでしたね。なぜなら忙しいから!(^ ^) で、今、これをどこで書いているかというと、バッティングセンターですよ。子供たちがバッティングセンターで遊んでいる間に書き上げるという。で、流れているテレビのローカル番組で、おぎやはぎの矢作さんが近所にきている事を知るという。今から帰ったら、まだいるかなー。でも今夜、お通夜なんだよなー。お世話になった近所のおじいさんが大往生されたので。91歳。お疲れ様でした。
 
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