和噺

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体罰の噺

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        和噺   
                         R1/12/06
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おはようございます。僕です。薪ストーブ、暖かいですわー。不思議なんですが、同じ摂氏18度でも、エアコン暖房の18度と、薪ストーブの18度って違うんですよね。何だろうね。遠赤外線ってやつでしょうか。お風呂のような暖かさ。身近な電機機器で近いものは、デロンギとかのオイルヒーターですね。あれは、薪ストーブっぽい。やっぱり遠赤外線なんでしょうか。
 
厚生労働省有識者委員会が「体罰の定義」を定めた、っていうのをニュースで知りました。その定義を元に、改正児童虐待防止法ってのが、来年度から施行するとのこと。で、体罰の例として挙げられたのが、以下のようなもの。
 
・口で3回注意したけど、いうことを聞かないので、頬を叩いた。
・大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた。
・友達を殴ってケガをさせたので、同じように子供を殴った。
・他人のものを盗んだので、罰としてお尻を叩いた。
・宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった。
 
また、体罰(暴力)じゃないけど、子供の心を傷つける行為として、以下のようなもの。
 
・冗談のつもりで「お前なんか生まれてこなければよかった」など、子供の存在を否定するようなことを言った。
・やる気を出させるために、兄弟を引き合いに出して、ダメ出しや無視をした。
 
だそうです。ちなみに、厚生省の有識者委員会の議事録は、以下のサイトで閲覧できます。読んでないけど。
 
まぁ、時代は変わるもんだな、ってのが第一印象ですよね。僕のような昭和世代にすれば、当たり前も当たり前、ほとんどの家庭には当てはまるんじゃないの、という感じですが。ついでに思うのは、この規定、親だけじゃなくて学校にも適用しなさいよ、と思います。宿題をしてこなかったから教師が怒るとかも、子供の心を傷つけるよね、とか思うんですが。その辺、どうなんでしょうね。マラソン大会とかも、体罰に当たるような気がしますけどね。どうなんでしょうね。
 
こういう類の論で、なるほど一理あるよなと思ったのは、テレビで長嶋一茂さんが言っていた言葉。そのテレビを見たわけじゃないんですが、その後、ネットで拡散されて目に触れたんですが。要旨は「体罰を禁止すると、体罰でしか矯正できない子供を、見捨てることになる」という話。なるほどな、と思いました。僕自身はそうではないですが、一茂さんは、自分で思い当たる節も、あるのかもしれない(ありそう)。
 
甘やかして育てられて、何を言っても聞かないような奴が、体育会系の部活とか、熱血教師とかにビンタされて、それで覚醒する、みたいな話でしょう。いますわな、そういう奴。ありますわな、そういう話。で、体罰を禁止しちゃうと、そういう奴の更生の機会を奪うことになる、という主張。体罰で救われている奴もいると視点は目ウロコでした。有識者の中には、体罰で救われた人はいないだろうけど、世の中には少なからず、いるだろうね。
 
さて。この話、いろんな方向に掘り下げられるから、なんかまとまりがつかなくなるけど、ちょっとここで文化の方面から掘り下げますよ。
 
世界的にみれば、日本を含めたアジア圏って、体罰文化が濃く残っている場所なんですよ。東南アジア、日本、中国、韓国とか。それに対して、欧米は少ない。中東やアフリカは知らん。で、僕は、体罰のベースにあるのが「稲作文化」だと思っています。同調性が高く、人と同じでなければいけないという、稲作文化。稲作文化は、皆と同じことをするのが最適解の労働形態ですから。そのためには、個人が勝手に振舞ってはいけない。そうならないために、体罰で個人を矯正するという方向だと思います。
 
対して遊牧・畑作(小麦)・商業などをベースとした文化の場合、個人が勝手に振舞っても何とかなるし、むしろ、好き勝手やってた方が「伸びる奴」が出てきて、全体としては利益になる、という面があると思います。稲作は天才を必要とせず、遊牧・畑作・軍事・商業などは天才の価値がある、ということでもあります。だから、そう言う文化では、子供を放任して育てて、吉と出るか凶と出るか分からんけど、まぁ構わないんですよ。どっちに転んでも、どうにかなるから、って感じなのだと思います。
 
そういう文化的背景の違いが、日本と欧米では、あると思います。まぁ、江戸時代の日本は大らかで体罰も無かった、という面もあるだろうけど。。言いたいのは、文化が進んでいるから体罰が無い、野蛮だから体罰がある、みたいな単純な話じゃないでしょ、ってこと。文化的な背景の違いは、大きいでしょ、ってこと。でも皆さん単純に「日本を含めたアジア諸国は欧米に比べて遅れているから体罰がある」みたいになるんだけど、んなことは無い。
 
逆から見れば、欧米の場合の体罰って、日本に比べて「ヤベェ体罰」、まさに家畜に対するような体罰、という意味合いがあると思うから、禁止しなきゃいけない、という方向に働いたのだと思います。で、その価値観の表面だけを輸入して「体罰禁止」って、日本は言う。ほんと、非常に単純な思考ですよね。
 
虐待死だののニュースが巷で騒ぎになって、それに対するアクションを取らなきゃいけないから、こういうことになるんでしょうが。原因を間違えていますよね。背中にナイフが刺さっているのに「背中が痛いのなら、ストレッチをしましょう」と言っているようなものです。
 
虐待死に至る一番の原因は、実親の親権が強いことです。それが、背中に刺さったナイフです。児童相談所の権限、また、裁判所の権限で、もっとサクッと実親の親権を剥奪して、施設や里親に預けるという方向にするのが、児童虐待死を防ぐ一番の方向です。体罰を禁止したから、どうにかなるというのは、役所の中で「やりました」というアクションを示したという意味では「お前らの中では、どうにか言い訳がついたね、よかったね」というだけで、実際には、どうにもなりませんよ。
 
障害や死に至るほどの体罰を加えるのは、現状の法律だって、どう考えてもダメなわけでして。禁止すりゃ無くなると思ってりゃ、頭の中、お花畑すぎます。そういう酷いケースを、法改正したところで防げるわけがない。親権剥奪を容易にすること、それにそもそも、親のストレスが溜まらないように育児環境を整えること、労働時間を減らすこと、所得を増やすこと、ベビーシッターを安価に利用できるようにすること、そういうことをやらなきゃいけないのに。
 
今回「これは体罰」と定義されたレベルのことは、ごく普通の家庭で、やっていることだと思いますけど。この定義によって、普通の家庭に、無駄にストレスがかかることになる。子供なんか、持つだけリスクだよね、という、少子化を加速させる方向に働くでしょう。体罰はいけないけど、一方で、レストランで走り回ったり、騒いだりするのも、いけない。矛盾。唯一解は、子供を持たないこと。最初から礼儀をわきまえた子供が生まれるとでも思っているのかね、有識者さんは。
 
有識者の方々が、どれくらい子育て経験があるのかも疑問だけどね。現代日本で、がっつり子育てをしていたら、社会の上位に行けないからね。必然、発言力のある人、公的な立場にいる人の多くが、子育て経験が無いんですよ。1年、育休を取って、夫婦で子育てしましたよ、ぐらいで「子育て」だと思っているんですわ。それ、中学で軟式野球部を3年頑張った人が、プロ野球の監督をやっているようなものです。変な例えになったけど。
 
ま、これも一昔前なら、お上の言うことは的外れでんな、で庶民は鼻で笑って終わらせられるのですが。昨今、皆さん真面目になっていますから。お上が言うことを守らなきゃいけないと思っている、真面目な方々が大半ですから。どうなることやら。親御さんのストレスが溜まらないことを願いますよ。子供なんか持ちたくないけど、親(祖父母)には、孫はまだかと言われるし。大変だね。ストレスフルだね。インドにでも移住したらどうだろう。また明日。ナマステ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
「カメラを止めるな」をアマゾンプライムで観ましたけどね。つまらなかったです。なんだろ、元は演劇だったというし、友達に誘われて行った小劇場の演劇なら、まぁ面白いよね、とは思うけど。いわゆるバックステージものです。僕は、バックステージものの一番大事なところは、小ネタの散りばめ方、そして、その小ネタの回収こそが大切だと思っています。全体的な構造は、昔からあるものだから、目新しくは無い。
 
で。その小ネタがお粗末すぎ。振りも不自然だし、後でこれが繋がるんだなとか、丸分かりになるし。うーん、単純に出来が悪い。それでも、みんなが面白い面白いって言うんだから、まぁ、他の映画がいかにつまらないか、ってことですよね。そりゃセリフボソボソの陰気なカッコイイ若手俳優が主演を張る芸術ぽい邦画よりは、よっぽど面白い、少なくとも、人を楽しませようという気概はあると思いますが。
 
「ラジオの時間」の下位互換、ってか、比べるのもアレですが。そういうやつでした。ネタバレになるから語るな!みたいに煽られていたけど、どこがネタバレになるのか、最後まで分からなかった。見て1分ぐらいで、これ、ああなるなって分かるやん。分からないとしたら、単に映画や演劇をみた経験が少ないんでしょうな、としか思えない。
 
あと、ついでに言えば、これ、元ネタの劇団の人がパクられてとか、問題になっていたけど、パクられたと騒ぐほどのネタでもないでしょ。古典的なやつですよ。著作権フリーのアイデアですよ。そこは、人間関係的に揉めたのだろうけど、変な絡まれ方をして可哀想だな、と思った。
 
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