和噺

まぐまぐで配信中のメルマガ「和噺」の過去ログです

ニワトリ小屋の噺

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        和噺   
                         R1/12/01
───────────────────
 
土佐ジローを十数羽、もらってきたんですよ。知り合いの親戚が、交通事故を起こしちゃって、入院しているから飼えなくなって、で、貰ってくれないかってんで。メスを十数羽、それとオスを一羽、貰ってきたんですけど。オスは、うるさいね。朝っぱらから、コケコッコー。今日も鶏の声で目が覚めましたよ。全然、気持ちいいモンじゃないですよ。ただただウルサイです。
 
一週間後の日曜日にモンゴル人とバーベキューするから、そこで、雄鶏と、卵を産んでいない廃鶏は、BBQにしようかなと思っています。モンゴルの人、ヤギは捌けるけど、ニワトリを捌いたことは無いだろうから、教えてあげようかな、と。そんな楽しい国際交流BBQの予定。あと一週間、コケコッコーは我慢します。
 
ニワトリは、ウルサイのは雄だけですからね。雌鶏だけ飼っていれば、大人しいものですよ。時々、コココ、って言うくらいで。隣近所がいても、雌鶏だけなら全然OKですね。どうしてもオスを飼いたいなら、夕方に段ボール箱にでも入れて、また朝に出す、という手法もあります。暗い箱に入れていると、大人しくなるからね。だけど面倒くさいですよ、毎日毎日、ニワトリを捕まえて出し入れするのは。メスだけ飼うのが、よろしいです。
 
さ、そんなこんなで貰ってきたニワトリ十数羽。小屋に入れて、ドアも開けてあるんだけど、出ないね。ドアが開いているのに、逃げようと思えば逃げられるのに、逃げもしない。小屋から出ない。精神、やられちゃっています。
 
生まれてこのかた、ニワトリ、小屋から出たことないですからね。自然界の中で生きるという概念が無いんですよ。どうやって自由な世界で生きていいか分からない。人間と同じです。
 
人間も、今は1歳、2歳から保育園に入って、小学校、習い事、塾、中学、部活、高校、部活、予備校、大学、サークル、バイト、就職。生まれてこのかた、自由になったことが無いし、その中での良し悪ししか知らない。枠組みの外で生きる自由に慣れていない。小屋のドアが開いているのに、外に出られないんです。
 
ニワトリは家畜です。家畜とは何かというと、人為的な環境で生きる生物です。ま、それは僕の定義ですけどね。ニワトリは、自然界では生きられない。人間が用意した環境の中で生きる生物なんです。で、人間もそうなんですよね。
 
もちろん、レベルがあります。何事も、0か100ではなく、グラデーションでぐんにゃりと変化していくものです。人間も、アフリカのブッシュマン(サン族)だって、人為的な環境の中では、生きているんですよ。彼らも、家に住み、衣服をまとい、言語を交わし、道具を使って生きている。オランウータンのように完全なる自然界の中で生きているわけではないんだけど、放し飼いのニワトリぐらいの自然度は、ありますよ。
 
飼いならされたニワトリが小屋から出ない、とは言ったけども。ずっと開けていると、そのうち、出るんですよ。他のニワトリに影響されるのか、外の風景が気になるのか。小屋の周りをうろうろし出して、そのうち、と言っても1ヶ月ぐらいかかることもあるけど、外をうろつくようになるんですよ。慣れるんですよ。ちょっとずつ、慣れるんですよ。
 
数年前、もう、本当にボロボロになった廃鶏を貰ってきたことがありました。いや、買ったんだっけな。1羽、500円で。卵を産まなくなった、3歳ぐらいのニワトリです。ボロボロですよ。羽もむしれて、赤い地肌が半分ぐらい見えているニワトリですよ。
 
最初は、捌いてダッチオーブンで焼こうと思っていたんだけど。あまりに不健康な姿を見て、気持ち悪いな、と思って。どうも食う気にならんな、と思って。とりあえず、ニワトリ小屋に入れておいたんですよ。でも、全然、動かないんですよ。ぎゅっとなって、ブルブルしているんですよ。ま、いいかと思って、放っておいたんですよ。
 
何日かしたら、ちょっとずつ動き出すんですね。今まで、小さいゲージの中にいたから、太陽の光を浴びたこともなかったけれども、陽の光を浴びて、草をつついて、虫を食べて、そういう本能が呼び起こされるんですかね。少しずつ動き出して、そしたら、羽も生えてくるんですよ。見るからに健康になってくるんですよ。
 
1ヶ月もしたら、普通のニワトリだな、と思うレベルにまで回復しました。美味しそうな外見になって、これなら食べられるなと思ったので、食べましたけど(笑)。
 
回復するんですよ。ニワトリも。ニワトリで1ヶ月だから、人間だったら1年かな。どれだけ飼いなされていても、開いているドアから外に出られなくても、自然の中に放り出して、陽の光を浴びれば、1年で羽は生えます。そしたら、ちょっと羽ばたいて、柵を越えて、もっと遠くへ行けます。
 
だけど、ほとんどのニワトリは、そういう幸せを知らない。いかに快適なニワトリ小屋の中で過ごすかの議論しか、していない。こっちの餌の方が美味しいだの、ニワトリ小屋を清潔に保つ秘訣だの。ニワトリが、そんなことを自分で考えてくれて、素敵な卵をガンガン産んでくれるんだから、飼い主は嬉しいですよね。僕も、そんな積極的なニワトリが欲しいです。また明日。チャオ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
香港ガール、今日は近所の農家さんの手伝いで、新居浜のジョイントマーケットに出店しています。香港ミルクティーの販売をするとか。エバミルク、っていう、甘くない練乳と、セイロンティーを使うんだって。飲んでみたけど、普通のミルクティーだなと思った。なんか、居心地が良いので、予定を一週間延長して滞在するってさ。
 
──★まぐまぐ大賞に投票してください─
 
12月3日まで投票を受け付けているそうなので、よろしく!
 
 
──★バックナンバーはこちらから───
       Twitter @kato_nodoka
       Instagram katonodoka
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━