和噺

まぐまぐで配信中のメルマガ「和噺」の過去ログです

家づくりの噺

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        和噺   
                         R1/11/30
───────────────────
 
何の話をしようかな、って思うってことは、特に現在進行形で話したいことが無いってことですから、昔の話をします。家を建てた時の話でもしましょうか。おはようございます。僕です。いい天気ですね。
 
10年ぐらい前、なんだかんだあって山奥に土地を買った僕です。そのなんだかんだは、昔、話した気もしますので今日は省略しますが、特別養護老人ホームに1ヶ月通いつめたり、裁判所に行ったりした結果、10ヘクタールほどの土地を買いました。うち、8ヘクタールが山林で、2ヘクタールが棚田の跡地(農地)です。
 
で、そこに家を建てたい。あ、最初に行っておきますけど、久しぶりに「夢の話」ですわ。夢日記。だって公的にアウトな話とかも、ある感じだから。まぁ、基本的に僕が書いていることは、すべて小説ですからね。フィクションですよ。実在の人物や団体には関わりが無い事を明記しておきます。
 
で、家を建てたい。その時の僕は、家を建てたことが無かったですから、どうしよっかなと思っていたんですよ。普通はハウスメーカーに頼むじゃないですか。セキスイハイム、みたいな。だけど、農地なんで。建てちゃダメなんですよ。ハウスメーカー、違法行為だから、やらないんですよ。で、農地を宅地にしなきゃいけないんですけど、農地を宅地転用するためには、取得から3年間は待った後に、農業委員会に申請して建築するという流れになるんですが、3年って長いじゃないですか。
 
みたいな話を集落の飲み会でしていたら「建てちゃろか?」と微笑むパンチパーマのおじさん。大工さんです。「じゃ、お願いします」。はい、契約成立です。そんな感じで建てる事になりました。
 
まぁ、建築基準法とか五月蝿いことを言えば、一級建築士が建てなきゃいかんのでしょう。耐震基準をどうやらこうやら、するんでしょう。でも、そもそも家なんてのは、人類が何万年も建ててきたものなんですよ。人間の巣、ですよ。一級建築士が設計した家じゃないと住めないというのであれば、人間は今までどうやって生きてきたんや、という話ですよ。
 
大工さん、何の資格もない大工さんですけど、今まで何百軒の家を建ててきたプロですから。で、今でこそ縛りが五月蝿くなって、大工さんが素人設計でやる(素人じゃなくて玄人なんだけどね)っていうのは、法的にアウトかもしれないけど、何十年か前までは、普通にそうやって建ててきたわけですよ。「家を建てて」で「おうよ」と建てるのが、大工さんなんですよ。
 
だから、大工さん(昔の大工さん)は、一人で家を建てられるんです。設計もできるんです。最初から最後まで、家を作れる。それが棟梁です。で、そういう人が近所にいて「建てちゃろか?(建ててやろうか?の方言)」と言ってきたので、「お願いします」と。見積もりも何も無いですよ。契約書も無い。口約束。そんな始まりです。
 
まぁ、僕は今でこそwe workへの空売りで資産2兆ぐらいありますが、その当時は、そんなにお金が無かったですから。830円しかなかったですから。大工さんに「僕も手伝うので、弟子として使ってくれ」と言ったんですよ。人件費、浮くじゃないですか。あと、家の作り方も勉強できるし。一石二鳥だなと思って、1年ぐらい、施主兼弟子という、偉いんだか偉くないんだか分からない立場で参加しました。
 
で、大工さんに頼むと言っても、さすがに間取りは僕が考えますよ。で、必死に間取りは考えました。本を何十冊か読んで。で、もうバッチリ完璧、っていう間取りができたんで(フリーソフトを使って書いた)、それをプリントアウトして大工さんに持って行ったら「分かった」って。で、作ってくれるって。軽いよね。で、設計図は無いんだけど、大工さんがそのプリントを見ながら作っていく。そんな感じ。
 
どうやって建てるか。そこは棚田の跡地だったので、っていうかね、地目では農地ってなっているけど、実際は農地じゃないからね。荒地だからね。農業なんて、何十年もやっていない土地なんだから。実際は農地ではない。だけど地目は農地。法務省のサーバーに侵入して、地目を書き換えてやろうかと思いましたけど、良い子だからしませんよ、そんなこと。ひっそりと農地に家を建てるだけに、してやりましたよ。で、建築予定地は、棚田の跡地なんですよ。
 
棚田ってのは、っていうか田んぼっていうのは、下に「盤(ばん)」と呼ばれる石の層があって、ここは硬いんですよ。その上に、稲を育てるための泥、つまり土の層があります。15センチぐらいの深さです。これは柔らかいので、これを取り除いて、盤を露出させてから、そこにコンクリートのベタ基礎を打つという流れです。
 
棚田の表土は、ユンボカリカリと、削り取る感じです。これは1日あれば終わりますね。で、砕石を敷いて、鎮圧して、防湿用のビニールを敷いて、そこにコンクリを流し込む。このコンクリも、ミキサー車が入ってこれない土地だから、空練り(からねり)という、水を含まないコンクリート、つまりはセメントと砂と砂利をミックスさせたパウダーを軽トラに積んで、持ってきて、家(の予定地)の横で水と混ぜて流し込むという作業をするんです。
 
で、その空練りをどこから持ってくるかっていうと、コンクリ屋なんですけど。田舎にあるでしょ、コンクリ屋。あそこに行くと、軽トラに積む用の場所があるんですよ。大きな、4階建ぐらいあるセメントタンクの下に軽トラをつけて、そこに上から、巨大な漏斗みたいなのが来て、どどどーっと落としてくるんですよ、セメントと砂と砂利が混ざったパウダーを。軽トラの最大積載量が350キロのところに、800キロぐらい入れます。いけないね! ま、小説だからね。フィクションですよ。
 
横から見ていると、軽トラが沈む。むぎゅうう、ってなる。でも大工さん、これぐらい普通、350キロずつなんか運んでられるか日が暮れるわ、と言う。僕は弟子ですから、ひたすらそうやってセメント工場と、家(の予定地)を往復する手伝いをしていたんですが、カーブできしむ。軽トラがギギギって言う。ハンドルが重くて曲がらない。変な音がする。坂道は1速でしか動かない。そんな状態で、1日、4往復ぐらいして、家の土台を作っていきました。
 
そんな感じでコンクリの基礎を作ったら、設計図(僕がプリントアウトした間取り図)をもとに、大工さんが柱や梁などを作っていきます。これは基本的に、大工さんの自宅工場でやります。材木屋さんから材木を買ってきて、それに、なんか色々な印をつけて、刻んでいく。プラモデルのパーツを作るみたいな感じです。僕も、材木を運んだり、お掃除したり、木っ端を薪ストーブに入れて工場を暖めたりと、そんな感じのお手伝い。
 
で、できたものを家の予定地に運んで、建前をします。一気に屋根まで組み立てる、お祭りっぽい日ですね。この日ばかりは手伝いの人、つまり大工さんの大工仲間ですが、その方々が10人ぐらい、来てくれました。で、柱を建てて、梁を組んで、屋根を張る。
 
その後は、また、大工さんと僕だけです。壁を作り、床を作り、コツコツと仕上げていきます。大工さんが「建てちゃろか」と言ってから、住むまでで1年ぐらいかな。そんな感じ。今、その家でこれを書いていますが、そんな感じで建てたから、全部、覚えていますからね。吹き抜けの屋根板の裏地とか、これは見えるところだからキレイにしなきゃいけないってんで、プレーナーという大型のカンナに、一枚一枚、全部かけたもんね。数百枚。子供(0歳児)を背負いながら。大変だった。
 
家を建てて思うのは、家なんてそんなもん、ですよ。一生に一度の買い物、なんてものじゃない。人間の巣。好きなように建てればいいし、好きなように作ればいいんですよ。どうにかなるし、ほんと、大層なものじゃない。そう思います。ま、でも農地法建築基準法は守ったほうがいいんじゃないの、法律だから。また明日。チャオ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
空気清浄機、オートモードにしておくと、何か匂いを感知したら動き出すんですけど。例えば、ホットプレートで焼きそばとか作って、ソースの香りがすると、「くっせえ、くっせえ」って言って、センサーが真っ赤になってフル回転するんですよ。ま、機械にはソースの香りが分からんか、と思いますが。
 
それはそうと、この空気清浄機のすぐ横でオムツ替えをしても反応しないのね。なに、赤ちゃんのウンチは臭くない、とでも言いたいのか、お前(空気清浄機)は。母か。ソースより、ウンチの方が良いらしいですよ。所詮、機械ですわ。
 
──★まぐまぐ大賞に投票してください─
 
12月3日まで投票を受け付けているそうなので、よろしく! まぐまぐ大賞、欲しい。サンタさんに手紙、書こうかな。
 
──★バックナンバーはこちらから───
       Twitter @kato_nodoka
       Instagram katonodoka
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━