和噺

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ニノの結婚の噺

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        和噺   
                         R1/11/18
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嵐の二宮さんが結婚したことで悲しむファンというのは、多かれ少なかれ、自我の拠り所を二宮さんに置いていたんですよね。だから、二宮さんの結婚で、その自我が崩れてしまう。どうしていいか分からない、という状態になってしまう。おはようございます。僕です。今日は地域のお祭りがあるので、子供を連れて行ってきますよ。
 
毎度言うように、自我とは行動規範です。こういう状況ではどう行動すべきか、何のために行動しているのか、そういうことの統一性のあるルールが、自我です。ま、これは僕の定義ですけれども。
 
シンプルなところで言えば、私は警察官だから、人々のために尽くさなければいけない。警察官という「自我(行動規範)」が、自分の行動を規定するわけです。ただ、普通の人は、何か特定の一つの自我で全ての自我を形成しているわけではない。誰かの息子であり、父であり、友人であり、また職業(警察官)である、という方が普通。例えば、警察官であったとしても、自分の息子の犯罪は隠すかもしれない。犯罪を隠す場合、父という自我が、警察官の自我を上回ったから、そういう行動になった。
 
もちろん、ここには葛藤があります。息子が犯罪を犯した。警察官の自我としては、犯罪をした息子を逮捕しなければいけない。父の自我としては、息子をかくまってやりたい。結論が違いますよね。葛藤です。こういう葛藤は誰にでもあるし、どちらに転ぶか分からないので、側から見れば面白いものです。映画とか小説は、こういう葛藤を描くのです。もし、ここに葛藤が無ければ、ドラマが生まれません。ヤクザが、自分の息子の犯罪を隠す。それでは、ヤクザの自我と、父の自我で、結論が同じだからドラマが無いのです。
 
で、普通の人間は、家族なり、共同体(ご近所さんや友達)なりで、ベースとなる自我を築きます。もし別の自我を築こうとした場合、ベースとして存在する、家族や共同体は邪魔になります。だから宗教には出家が必要なのです。家という自我を出て、新たな自我を形成しましょう、という話です。
 
学校の寮生活や、会社の寮生活も、似たようなものだと思います。単身赴任とかも、ね。家族と会社(学校)、どっちも取ることは出来ない。というか、会社(学校)側からすれば、都合が良くない。行動規範は、一つの方が良い。寮生活は、その団体にとっては、効率が良いのです。(ま、後で触れるけど、そもそも家族から切り離された人を収容するという意味で、学校や会社が寮を持つ、という意味もあると思う)
 
ちなみに僕は、家族や共同体をベースに自我を形成するのが最良であると思っています。ほとんどの人類は、親に育てられるし、そこで形成された自我で特に問題なく一生を過ごせるのであれば、それが一番、幸せだと思うので。日常に還元して言えば、毎日、家族そろってご飯を食べるような生活が真っ当だと思っています。
 
だけど現実には、ひどい家族もあれば、ひどい地域もありますから。その家族や地域(友人)で自我を形成していては、幸せになれない。そういう場合に、違う共同体に所属して自我を形成し直さないといけない、ってこともある。共同体に所属しないで個人で、一匹狼で何とかならないのか、と思うでしょうが、普通、無理ですよね。お釈迦様でもあるまいに。個人で自我の安定を果たしたのは、お釈迦様ぐらいでしょう。それが仏教(原始仏教)です。普通、無理です。
 
家族に所属できなかった場合、良い会社に就職するってのが、今の日本だと最も良い道ですよね。社長の面倒見が良くて、お見合いとかの面倒も見ちゃって。大家族のようなホワイト中小企業。
 
一昔前の日本は、社内運動会をしたり、社員旅行をしたりと、まるで大家族のように振る舞い、社員の自我を吸い取って、会社という大共同体を作っていました。お金も稼げるし、一石二鳥ですよね。ま、この仕組みが戦後に流行ったのは、集団就職で家族と切り離された多くの若者がいたからです。だから、そういう若者がいたからこそ、生涯をそこに捧げる受け皿としての会社が存在し得たのです。
 
会社が自我を補填(かなり大きな割合で)するという仕組みは、数十年はうまいこと働いていたのですけれども、どうしても競争力は低いんですよね。バカの面倒も見なきゃいけないし。要は、軍隊的に成り得ないということです。アメリカ的経営は、軍隊的です。大将がいて、兵長がいて、兵士がいる。ピラミッド型組織。目的は明確です。利益をあげること。そのためには、「みんな一緒」という家族的な団体よりも、役割分担が明確な軍隊的組織の方が強い。
 
本能的には、人間は共同体内では共産主義、平等を好みます。家族は平等。お父さんだけおかずが一品多い、というのは、明治期に欧米式をコピーした、近代日本のお父さん像です。ただ、本能的には合わないから、廃れましたけれどね。自我を所属させる家族や共同体は、平等な方が良い。ただ、平等な会社は、競争に弱い。CEOが平社員の100倍の給料をとるピラミッド型の組織の方が、競争に強い。資本主義と、自我を安定させる共同体経営を両立させるのは、超難しい。
 
欧米式の軍隊的組織は、資本主義的には強いのですが、自我の補填という役割は、そんなに果たさないです。CEOも、給料の高い別会社に転職しちゃうわけです。もし、自我を会社に頼っていたら、そういうことは、やりにくいですから。隣の家の飯の方がおかずが豪華だから、今日から隣の家のお父さんになるよ、とか無いでしょう。日本の会社は、アメリカとの比較では、構成員の自我を多く引き受けていますから、転職が起こりにくいのです。
 
ただ、繰り返すけど、家族的組織(前時代的な日本の会社)は経営効率が悪い。だから、潰れていった。で、アメリカ的な経営、転職を繰り返すキャリアアップ、みたいなのが流行り出した。だけど一方で、日本人の自我は多くを会社に頼っていたのだから、その会社が消え去ると、自我が不安定になる。家族という共同体は、既に崩壊している場合も多い。どうするか。その隙間産業を担う一つが、ジャニーズです。
 
はい、二宮さんにつながりましたよ。ジャニーズのビジネスとは、家族という共同体が崩壊し、生涯雇用を引き受けていた日本的経営の会社組織が崩壊し、人々の自我が不安定になったところに現れた、不安定な自我を一時的に引き受ける隙間産業です。「私はニノが生きがい」ってのは、ニノを応援することで、自我の安定を図るのです。また、根元的な欲求の、性欲とか母性本能とも結びついているので、強いです。そして、その性欲は決して満たされることがないので、長い時間にわたって継続します。
 
ただ、ビジネスモデルとして限界があるのは、二宮さんが人間だってことですね。人間だから結婚したいし、家庭も持ちたい。その限界が来た、ってことです。結婚せずに、格好良さを保ち続け、ファンのために笑顔を振りまき、40歳前後で事故死でもしたら完璧なんですけど、可哀想ですからね。二宮さんも人間だから、幸せに生きたいだろうし。ま、しょうがないですね。
 
二宮さんの結婚でショックを受けているファンの皆さんは、どうしたらいいでしょうね。良い宗教にでも入れればいいんですけどね。嫌味で言っているわけではなくて、僕は、宗教の役割というのは大きいと思っているんです。宗教っていうのは、歴史ある自我安定装置ですから。昔から、家庭や共同体で自我形成を出来なかった人々を集めて、その人々の幸せを担ってきているんですから。村から追い出されたものが行く先は、坊主か兵士。ある意味、宗教や軍隊は個人のセーフティーネットなんです。
 
だから、その辺をうまく汲み取って、良い規律を、良い人間関係を提供して、さらに現代社会との折り合いもうまいことやってくれる宗教があれば、そこにハマるのも良いと思いますよ。でも、なかなか分かってハマれるものでもないしね。この辺は、その宗教の運営者のセンスに寄りますからね。ただ、ISISみたいな、かなりぶっ飛んだ宗教も、結構、人を集めているのだから、まともにやれば、結構な人を救えると思うんですけれどもね。
 
難しいのは、宗教=胡散臭い、というイメージが、がっつり付いちゃっているからね。また、食欲・性欲などとも、結びつきにくいし。ISISは、占領した異教徒の女性を性奴隷にしたり、また、来世での性欲の満足、みたいなことと結びつけるから、人気が出るんだろうね。現代日本は、別に宗教団体に属さなくても、食欲・制欲は満たせるから、宗教団体が力を持ちにくいのかな。
 
制欲と宗教(に似た団体)の関係で言えば、現代日本では、風俗産業があるから、男性の性欲を満たすのは簡単だけど、女性の性欲を満たすのは難しい。だから、そこにジャニーズ需要が生まれるんでしょうね。AKBとかがいくら盛んでも、ジャニーズと比べたら規模感が小さいのは、男性向けの風俗が盛んだからじゃないかな、とか。日本が性風俗を禁止したら、AKBはもっとビジネス拡大できるでしょう。秋元康蓮舫呉越同舟。いや、蓮舫さんの政策は知らないけど、そんなイメージです。
 
そんなとこかな。以上、二宮さんの結婚のニュースで思ったこと、でした。ほんと、ファンの人はショックだろうけど、どうにか次の対象を見つけられたらいいですが。それもこれも、家族や共同体、そして日本的経営を破綻させたことが問題なんですよ。そこがしっかりしていれば、二宮さんの結婚ぐらい、良かったね、で終わらせられるんですから。良かったね、と思えない人は、自我が不安定(二宮さんに頼っている)なので、辛いでしょうが生きましょうね。また明日。チャオ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
カップヌードルグリーンカレー味を食べたけど、容赦無く辛いね。最近のカップヌードルは、攻めている気がする。
 
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