和噺

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ペリーの噺

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        和噺   
                         R1/11/07
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毎日、午前中に書くのがリズムになっているんですが、今日は朝7時ぐらいから徳島に行かなきゃいけないので、昨日、書いています。こんにちは。昨日の僕です。ヤギがユスラウメ食っていますよ。
 
ユスラウメってのは、5月ごろに1センチ弱の赤い実をつける果実です。白い種類もあるらしいけどね。僕は今まで、庭(超広い)に思いつく限りのいろいろな果物を植えてきましたけど、このユスラウメは、バッチリと、この土地に合ったなという果物ですね。その土地の土壌や気候条件に合う合わないって、すごくあるんですよ。ユスラウメ・グミ・プラム・栗、この辺は土地にベストに合ったな、という印象がある果物です。
 
僕は基本的に農業が好きではないので、植えたら植えっぱなし、放っておくんですよ。そりゃ、きちんと施肥をして、草刈りをして、枝の剪定をしてやって、と、やれば育つんでしょうけれども。面倒くさい。別に果物に限った話ではないですが、「面倒くさい」というのは最大の敵ですよね。ですから人間、面倒くさくないことをやるのが一番ですよ。例えば、僕はこういう文章を書くのは全然、面倒くさくないですから、向いているんでしょうね。少なくとも果物に肥料をまくよりは。
 
で、ユスラウメですよ。放っておいても、すごく育つ。で、実がたくさん成る。もう、言うこと無いですよ。植えて3年ぐらいで、食べきれないほどの実が成りました。食べ切れないほどとは言っても、そもそも、そんなに腹一杯食べるようなものでもないから、食べ切ろうと思えば食べ切れますけどね。好きに食べたいだけ食べても超余る、というぐらいの量です。
 
去年は、あまりに成っているからもったいなくて、冷凍してみたんだけど、一年間、姿を変えないまま冷凍庫にありましたよ。食わないねー。冷凍庫って、ゴミ捨て場とモッタイナイの狭間にありますよね。
 
まぁ、果樹を植えるなら、ユスラウメはオススメですよ。ぶっちゃけ、リンゴとかミカンとか、普通に売っている果物を育てても、つまらないでしょう。ユスラウメなんて売ってないですから。だから、育てて良かった感が強いですよ。ミカンとか、頑張って育てたところで「スーパーで5キロ1000円かぁ」とか思っちゃいますから。売っていない果物は、値段の比較対象が無いから良いです。思い出はプライスレス。家の脇のユスラウメもプライスレス。
 
で、そんな大切なユスラウメを、ヤギ野郎が食っていますよ。なんか、ツイッターとかでも僕、普通に、その辺にヤギがいるみたいに呟いていますけど、もちろん、普通じゃないですからね。原因は、今年の夏の雨で、ヤギを閉じ込めていた石垣が崩れたんですよ。で、そこから外出して、その辺の草を食べて、夕方おうちに戻るという出勤状態になったのですよ。ヤギ。ま、その辺の草を食べている分には良かったのですけど、うちの近くまで来てユスラウメを食べやがって、あの野郎。
 
話して通じる相手じゃないですからね。我が家の犬がヤギを追っ払ってくれればいいんですけど、この犬、とんだチキン野郎ですから。ヤギを見るや、一目散でどっかに逃げていきますから。まぁ、レトリーバーですからね。レトリーバーって、もともとは、湖とかで撃ち落とした鳥を回収する役目の犬ですから。ヤギを追うなら、シェパードとかがいいんでしょうけど。まぁ、でも犬だから追えよ、とは思いますよ。肉食獣と草食獣だぞ。食う側と食われる側でしょ。なんで負けんねん。
 
2ヶ月ぐらい前から子猫を飼っているんですが、この子猫を見ると、なぜかヤギは逃げますね。子猫を恐れるヤギ。で、子猫は、犬を見ると逃げる。じゃんけん状態です。猫○ー●ヤギ。ヤギ○ー●犬。犬○ー●猫。そういう力関係みたいです。
 
ヤギをいい加減、閉じ込めないといけないですね。ヤギを飼いたい方々に言っておきますけど、ヤギは逃げますよ。すぐに逃げますよ。ですから、まず第一段階で、人間に超慣れさせておくことをオススメします。子ヤギの時に、これでもかってぐらいに触れ合って、人間を好きにさせておいてください。じゃないと、逃げた時に捕まらないです。慣れさせておけば、逃げたとしても捕まえられますから。もう逃げる前提で話していますけど、逃げますからね。ヤギ。
 
ペリーの話はしたことあったっけ? と、問いかけても反応が返ってきませんよね。チャットじゃないんですから。したような気もしていますが、どうせみんな忘れていると思うので、しますね。何年か前に来たペリーっていう香港人の男がいたんですよ。二十歳ぐらいだったかな。どうせ彼は読んでいないから言うけど、まぁ、歴代で一番、仕事のできない人だった。真面目だし、良い人なんだけどね。丸太を持たせてもヒィヒィ言っちゃう。草刈りとか全く進まない。とにかく肉体労働は全くできない人だった。
 
ちなみに、なんで「ペリー」って言うかというと、香港の人、っていうか中国の人の多くが、英語名を持っているんですよ。アンディとか、マークとか、本名とは別のイングリッシュネーム。で、彼も、イングリッシュネームのペリーってのがあるから、それで読んでくれ、と。そのペリーってのは自分で決めたの?と聞いたら、いや、学校の英語の先生が適当に決めた、と。クラスの一人一人に「お前はジョン、お前はペリー」みたいに決めるんだって。学校の先生が。マジかよ中国。
 
彼に「一応、言っておくけど、ペリーって日本では黒船のペリーのことだから」と教えたら、知りませんでしたよ。ペリー、ペリーのこと知らなかったよ。だから、関根勤さんのペリーのモノマネを教えておきましたよ。自己紹介の時に、これをやれば絶対に受けるから、と。「はじめまして。私の名前は、ペリーです。国を開きなさーい! じゃないと黒船!」って言え、鉄板だから、と教えておきました。ビバ国際交流。
 
そのペリーと雑談していて驚いたのは、一人っ子政策のおかげで、中国の男子は、まぁ、とにかく甘やかされている、っていうこと。彼らはそれが普通だと思っているんだけど、日本人の感覚からしたら、超、甘やかされている。ペリーが言っていたのは、12歳ぐらいまで、自分で食事を食べたことがなかった、と。あーん、ってやって、親が食べさせてくれてた、と。マジかよ中国。12歳ですよ。もう中学生ですよ。あまぁーい、ですよ。これは井戸田さんですけど。
 
あまぁーい、って書いて井戸田さんというのは、伝わりますかね。フォントを変えればいいんですか。っていうか、普通に井戸田さんとか言っていて通じていますか。スピードワゴン井戸田さんですけど。海外在住の読者さんからメールをいただいたりしているけど、そういう人は、分からないでしょうね。すいませんね。知らない人は、スピードワゴンの漫才をYouTubeで50本ぐらい観といてくださいね。一般常識なので。
 
ま、そういう育ちのペリーなので、丸太を運ぶとか、もう無理なんですよ。きちんとした肉体は持っているんですけど、心が乙女。丸太を、僕と二人で運ぼうと思って、肩に乗せたら、痛い痛い痛いとか言って、すぐに下ろしちゃう。こりゃダメだと。で、その時にちょうど、子ヤギを貰ってきていたんですよ。特にペリーにやらせる仕事も無いから、じゃあ子ヤギでも可愛がっていてよと言ったら、すげー可愛がって、ずっと子ヤギと一緒にいて、結果、その子ヤギが懐きました。今、大きくなってユスラウメ食っていますけど。
 
今、うちには2頭のヤギがいます。ペリーが可愛がった結果、人間にすごく慣れた母ヤギ。で、その母ヤギが産んだ子ヤギ。もう子ヤギじゃなくてサイズ的には大人ヤギになっちゃったけど。その子ヤギの方は、特に誰も手なづけていないので、捕まえるのは無理です。本能で逃げますね。2メートルぐらいまで近づくのが、精一杯。ま、3年ぐらい前にペリーが可愛がってくれたのが、今、実を結んでいるのですよ。ちなみに、おとうさんヤギは、夏にモンゴル人と一緒に食べちゃいました。テヘペロ
 
さて。何をやらせても、本当に、本当に何をやらせてもダメだと思っていたペリーなんですが、ヤギを手なづけるという仕事には、ハマりましたね。まさか、僕もハマると思って依頼したわけじゃないんだけど。家事をやらせてもダメだし、ペンキ塗りとかもダメだから、しょうがなく頼んだのだけど。やっぱり育ちが良いのですかね、愛に溢れているのか、本当にヤギを可愛がってくれました。子ヤギを自分の小屋に連れ込んだりしていましたからね。すごいよ、ペリー。
 
あともう一つ、ペリーの能力を思い出した。ニワトリの毛を抜くこと。ペリーがいた時に、ニワトリをさばいて食べたんですけど、その時に、ニワトリの毛抜きを頼んだんですよ。殺したニワトリを、お湯につけて、毛を抜いていくんです。これがペリー、超早い。丁寧な上に、超早い。今まで経験があったわけじゃなくて、人生初だと言っていましたけど、あれは天才ですね。ニワトリの毛抜きの天才。きっとペリーのおじいさんが、中国の市場で名を馳せた毛抜き名人だったのだろうと思います。
 
人間、そういう能力もあるんですよ。でも、ほとんどの人は気づかないでしょう。だって皆さん、ニワトリの毛を抜いたこと、無いでしょう。だったら、世界一レベルの才能があるかもしれないけど、分かっていないだけなんですよ。ペリーだって、自分の眠っていた才能に気づいていなかったんですから。
 
僕が興奮して、ペリー、お前すごいよ、こんなに綺麗に早くニワトリの毛を抜ける人はいないよ、と言ったんだけど、彼は全然ピンと来ていませんでした。だって彼は、普通にムシっているだけだから。それが天才の所以ですよ。あくまで普通。普通にニワトリの毛をむしっているだけ。それでいて、常人の何倍もの成果をあげている。
 
田舎暮らしの良いところは、いろんな仕事があることです。だって、もし僕が都会に住んでいてペリーをホームステイさせていたら、何をやらせてもダメなやつ、で終わったんですよ。子ヤギを懐かせるとか、ニワトリの毛をむしるとか、そういう仕事に出会えることは無いわけですから。田舎だと、自然相手のことが多いから、仕事の種類が多い。野いちごを見つけるのが上手いとか、逃げたヤギを追い返すのが上手いとか、そういう能力に出会える可能性が高いのです。
 
自分には何の能力も無いと思っていても、そして、あいつには何の能力も無いと思っていても、ただ単に、能力を発揮できるシチュエーションに出会っていないだけのことです。それが好きなこと、とも、限らない。だってペリー、別にニワトリの毛をむしるのは好きじゃなかったから。好きなこと・才能のあること・人の役に立つ(お金になる)こと、その3つが全て合わさればいいんですけどね。
 
ま、いろんなことをやってみるのが、一番いいですよ。ニワトリの毛をむしるなんていうのは、メジャーな仕事ですから、一回ぐらいはやってみたら良いですよ。才能があって、おまけに好きで、ニワトリ毛むしりユーチューバーになって金も稼げるかもしれない。インドネシアあたりからアクセスが殺到して「日本に毛むしりの天才がいる」とか、なっちゃって。ちなみに、僕はニワトリの毛むしりは嫌いです。才能もありません。それは、やってみて分かりました。
 
──【おまけのはなし】────────
 
才能の話をしていたら、もう一人、思い出した。アメリカから来たスチュワート、とか言ったかな。木登りの天才。本人も木登りが大好きで、知識もすごい。こういう木ならどう登るか、とか。枝も無い杉の木に登りますからね。ただ、現代社会でどうやったら生きていけるのか分からないようでした。そういう人が、木に登って生きていけるような社会がいいよね、と思う。
 
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