和噺

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生命と協力の噺

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        和噺   
                         R1/11/06
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朝、その辺を散歩して、素敵な日の出の写真を撮ったからインスタ映えや!と思って投稿しようとするんですが、いつまで経っても送信できない。遅いですね、ネットが遅いです。そりゃ、今まで(8年間)は圏外ギリギリの携帯電波を使ってのWi-fi接続でしたから、ヤフーのトップページが白地に青の文字情報のみになる、それも1分ぐらいの接続の後に、という具合でしたから。それに比べれば、はるかにマシなのですが。
 
700メートル、我が家の室内(室外だけど)LANを引っ張っているんですが、その700メートル先でインターネットを使うと、全然速いもんね。やっぱ、森の中を通す700メートルで、速度が落ちている感じがする。途中、モモンガにでも齧られているのかもね。インスタも「接続状況が改善された時にもう一度実行されます」とか、出てくるし。ぷぅ。今まで、したと思っていたツイートも、下書き保存されていたことに、さっき気づいた。そんなですわ。おはようございます。僕です。良い天気ですね。
 
昨日は、フランス人・スペイン人・デンマーク人を伴って、バッティングセンターに行ってきましたよ。日本独自でしょう、バッティングセンター。そもそも彼ら、バットを持つのすら、人生初ですからね。ぎこちないこと、この上ない。生涯で野球を、やったことはもちろん、見たこともない人間は、これほどにバットが振れないものかと思いましたね。剣で斬る、みたいな格好になるのが精一杯。90キロを投げてくる画面の則本(楽天)にビビっていました。
 
バッティングセンターって、しょぼいゲーセンが併設されているでしょう。そこに、頭文字Dレーシングゲームがあったんですよ。シートに座ってハンドル操作するタイプのやつ。そしたらデンマーク娘「これ、子供の頃にやったことある」だって。「デンマークからノルウェーに行くフェリーの中に、このゲームがあって、超やってた」だって。やらせてみたら、すげぇ上手いの。碓氷峠をドリフトで攻めていくデンマークガール。世界は広いようで狭いね。
 
さて。昨日、ちらりと紹介した「協力と裏切りの生物進化史」っていう本。超良かったです。どういう本かざっくり説明しますよ。「アウトプットすることによりインプットは完成するのだ!」とか、いろんな自己啓発の人が言っていますからね。「ブログとかでアウトプットすると良いのだ!」って言っていますからね。素直なので従いますよ、僕は。
 
えっとね、なんかね、生命ってもともとは「脂質」と「RNA」と「タンパク質」が、別々のぐちゃぐちゃしたものを作っていて、それってのは生命以前のものだけど、それらが独自のワールドを作っていたんだって。「脂質」や「RNA」や「タンパク質」は、シンプルな構造なので、海の中で雷ドッカン!みたいなので自然に出来るらしいよ。まぁ、そんなこと言ったら、すべての生命も人類も自然に出来ているんですが。
 
で、なんかのきっかけで、この「脂質」と「RNA」と「タンパク質」が合体した。脂質が「膜」を作って、内部にRNAとタンパク質を取り込んだ。それで、原始的な「細菌」が出来た。単細胞生物ですね。その時点で、この「脂質」と「RNA」と「タンパク質」は、協力したんですよ。俺ら、みんな半端者だけどヨォ、みんなで力を合わせりゃ生命、出来ちゃうんじゃねぇの?みたいな。そんなで、脂質に守られた内部で、RNAが情報を伝達して、タンパク質を増やして、みたいなサイクルが生まれ始めた。
 
RNAってのはDNAの、もっとシンプルバージョンです。RNAは情報を伝達する、みたいに言われるけど、まぁ、はっきり言って理解できないよね。だって物質だよ? モノだよ? なんでそれが情報伝達とかするの? 神がなんかしたんじゃねぇの、みたいに、キリスト教原理主義者がまとめたくなるのも分かりますよ。だって理解できないもん。ま、とにかくそんな感じで、最初の生命が誕生したんだって。
 
で。そんな小さな小さな細菌が、いっぱいいたんですよ。昔の地球。今もいっぱいいますけどね。現在でも、地球上の生命の99%以上は「細菌」だそうです。スマホの画面にも、手のひらにも、口の中にも、いっぱいいます。で、そういうやつばっかりの世界だったんだけど、その中の一部が、また「協力」を始めたんですね。正直、一匹(単細胞)で生きるのも限界があるよね。集まれば、なんか出来るんじゃね?と。はい、多細胞生物の始まりです。
 
細胞にしたら、みんな自分を増やしたいんですよ、本当は。だけど、多細胞生物になると、誰かは自分の身を犠牲にしなきゃならない。つまり「生殖細胞」は増えて自己増殖できるけれども、そうじゃない細胞ーー皮膚の細胞になるやつとか、目の細胞になるやつとか、そういうやつは自分を増やすことは出来ないんですよ。だけど、それでも協力した方が、強くなる。いや、強くなるってのは違うな、新たなステージに行くんですよ。
 
単細胞生物だったら、捕食できるものの大きさに限界があるわけです。自分と同じような大きさの、他の単細胞生物を捕食するのは、難しいわけです。もっと細かい、アミノ酸だとか、そういうのを食べているんです。だけど、単細胞生物が集まって、もっと大きな多細胞生物になって、口とか消化器とかを作ったら、今までは食べられなかったサイズのものを食べられるようになるわけですよ。今までと同じレベルでの競争をしなくて済むわけです。単細胞とは違うステージに進出したんです。
 
そうやって、生命は大きく複雑になっていった。細胞が集まって、まぁ、ロボット合体みたいなものですよ、それで無数の複雑な生命を作り上げていった。そしたら今度は、独立した生命同士で「協力」する奴が現れてくるんですね。アリとかハチのような、社会性をもった生命です。
 
アリは、生殖できるのは女王アリだけです。働きアリは、自分の子供を残すことは出来ない。そして女王アリだって、単独で生きていくことは出来ない。アリというのは、個体ではなく、協力によって繋がった大きな生命体みたいなステージに行っているわけです。そのおかげで、アリやハチの仲間というのは、昆虫界の中で異様なほどに発展した。世界中の「アリ」を集めると、「人間」よりも重いらしいね。物理的には、アリは人間よりも発展している生命です。
 
社会性のある生命といえば、もちろん、人間もそうです。人間は、アリよりすごい。血縁関係の無い相手とでも、つまり赤の他人とでも、平気で協力しますからね。いや、俺は一人で生きているよ、と思う方もいるかもしれませんが、あなたがこれを読んでいるスマホやパソコンは自分で作ったものではないし、電気も自分で発電したものではない。その時点で「協力」しているんですよね。赤の他人のおかげで、生きている。血縁関係という縛りすら無くしてしまったのが、人間の特徴です。
 
生命は、互いに協力することによって発展してきたというのが、本の全体を貫く思想です。何回か話していますが、人間とは集団の生き物である、集団になって初めて完成するのである、と僕は思っています。だから「個人」とか「自立」ってのは違うだろ、と思っているんですけれどね。今の時代は「自立した個人が繋がる」っていうのが理想形として語られるけど、自立できない人なんか、山ほどいますからね。徳井さんとか。それは、皮膚細胞が単独で生命活動できないのと同じことなんですよ。
 
人間集団を一つの生命として考えたときに、そりゃ、ある程度なんでもできる万能細胞みたいな人もいますよ。脳細胞、と言ったら良いかもしれませんが。そういう人間は、自分で手足を得て、栄養を補給していけるんですよ。アイデアさえあれば起業できる、みたいなことです。従業員や専門家として「使われよう」と思っている人は、優秀な手足の細胞となることを目指しているわけです。どんな集団(個体)からも欲しがられる筋肉細胞、ということです。
 
だけど中には、一見、どうやって使っていいか分からない細胞もあるわけですよ。爪とか。爪の細胞をおでこにつけて、なんだこれ使えないな、みたいに言う。かわいそう。爪の細胞がかわいそう。ちゃんと指先につければ、それなりに役に立つのに。爪は爪で、自分がどこに行けばいいか分からない。脳も、とりあえず爪ぐらい無くても支障は無いから、特に気にしない。そういう、行き場がなくなった細胞がゴロゴロしている。そして脳は爪に「自立しろ」って言う。それが「個人」の時代。
 
じゃあ、どうすりゃいいのか。昔(数万年前)みたいに、お互いが緊密に知り合っている集団なら、なんとなく「あいつは爪だな」と分かるから、それで良かったんですが、現代において、そういう方向に戻るのは難しい。家庭でも分からない。僕は、重要な役割を果たすことになるのが、教師だと思っています。小学校の先生。小学校の先生というのは、最も人生経験が豊富な人がやらなきゃいけない職業だと思います。私利私欲なく、全体(社会)を見て、個体を見て、特性を見て、可能な限り正解に近づける判断をする職業。
 
だけど現在は、真逆ですからね。世の中で最も世間を知らない職業の一つが、教師でしょう。そりゃ、社会がダメになりますわ。細胞を育てる機関がダメなんだもの。爪にも髪の毛にも「脳細胞を目指せ」みたいな命令をする、いや、違うな、筋肉細胞を目指せ、ですね。脳細胞を育てようとも、していない。筋肉だけを育てる機関になっていますね、教育機関。だから、脳筋野郎が生まれるのです。脳筋社会です。
 
その脳筋社会に対しての、意識高い人たちの意見は「脳細胞を増やせ」です。そりゃそうですよ、意識が高いっていうのは、脳ですから。それはそれでいいんですけど、僕は、加えて、爪や髪をきちんとしたポジションに置くべきだと思います。この世に「使えない人」など、いない。それは、使い方を間違っているだけです。もしくは、今は使う時期に無いだけです。ひょっとしたら、使う時期は永久に来ないかもしれないけど、それはそれでいいんです。
 
火事場の馬鹿力って、言うでしょう。生命の危機を感じた時に、人間は、普段はどうやっても出ないような力が出ます。それは、普段は、というか生まれてこのかた、一度も使われていなかった細胞までもフル動員して、パワーを出すから、そういう力が出るんです。でも、火事場に会わないで一生を終えられたら、それはそれでいいじゃないですか。火事場用の細胞は、一生、眠ったままでもいいじゃないですか。そういう細胞にまで栄養を行き渡らせなきゃいけないんです。火事場に備えるためには。
 
僕は、思うんですよ。将来、宇宙人が地球にやってくる。宇宙人がなんか、しゃべっているんですよ。ゆんゆんゆんゆん、しゃべってくるんですよ。誰も、何を言っているか、分からないんですよ。そんな時、さえない無職のおっさんが、あ、分かるわ、とか言って、その宇宙人と普通にしゃべり出すんですよ。それで地球が救われるんですよ。そういう時のために、みんな、幸せに生きていないといけない。宇宙人が来るまでの数万年、そのおじさんは穀潰しなんですが、いいんですよ。そのうち、地球を救うのですから。
 
──【おまけのはなし】────────
 
初霜を観測。歩くと、草がシャリシャリと言う。冬だね。
 
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