和噺

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コンパクトシティの噺

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        和噺   
                         R1/10/26
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おはようございます。僕です。いやー、昨日、というか一昨日ですけど、配信ミスって2日分を一気にやっちゃいましたね。お恥ずかしい話です。このうっかりさんめ!って感じで暖かく見守っていただければいいと思います。
 
僕は山奥に住んでいますが、どのくらいの山奥なのか、実際の距離感をわかりやすくお伝えしようと思います。町の中心部と、我が家までの距離は、だいたい8キロです。中心部にはスーパーや郵便局や役場や小学校などがあります。で、8キロですが、東横線で言えば渋谷から田園調布まで、です。いや、自分で書いていてビビりましたけれどね。田園調布かよ!と。
 
僕の実家は学芸大学なんですが、自転車で学大→中目黒とか、結構遠かったと思うんですけどね。調べたら2キロです。たった2キロ。うちの子、最近、自転車が楽しいらしくて、2キロ先に平気で遊びに行きますからね。うちから2キロ先までは、ずっと下り坂で、気持ちいいんですよ。ただ、下り坂を下りたいんですって。バカだから帰りが上り坂なことを分かっていないんですよ。とりあえず下り坂を下りたいから、2キロ下って、で、自転車を押しながら帰ってくるんですけれど。あれ、中目黒まで行ってるのか。バカだな、あいつ。
 
2キロ先にはお隣さんがあるんですが、そこの家の人は、学校(6キロ先)まで歩いて通っていた、と言いますからね。都立大学から渋谷まで、徒歩通学ですよ。小学校1年生が。やばくないですか。いや、聞くまでもなくやばいですよ。でもそれが普通だったって。もう40年ぐらい前の話ですけれどね。そんな距離感。ま、中目黒に住んでいる人を「隣」と言っている僕も、どうかしていますけどね。2駅、離れていますからね。だけど、ほんと「隣」ですよ。向こうも、うちを隣だと思っているし。
 
渋谷から田園調布までが8キロですが、その間に、東京だったら何万人も住んでいます。それが、うちの集落では100人ちょっとですから。そのくらいの人口密度ですよ。で、集落全体の面積で言えば、うちの集落って、目黒区より広いんですよ。たぶん倍以上ある。その山とか田んぼとか道とかを、100人ちょっと、っていうかそれは子供や高齢者を含んでいるから、実質は30人ぐらいで管理しているんですよ。
 
管理しているって言っても、そりゃ無理ですわ。皆、他に本業があるわけだし。道路だって総延長は数十キロになると思うし。水路だって数十キロあると思う。それを、数十人で全てメンテナンスしているんですわ。なかなか、厳しいものがあります。ご多聞に漏れず高齢化は進んでおり、70歳以下は「若者」ですから。いや、ちょっと盛っちゃったかな。60歳以下、かな。うん。若者のボーダーはそのぐらい。そんな感じの高齢化社会
 
なんでこんな話をし出したかというと、コンパクトシティ構想っていうのがあって。つまり、田舎って、こんな感じで山の中に集落が点在していて、そこのインフラの維持が難しくなってくる。うちの集落の場合は、市道町道ではないから、市町村の負担というのは、そこまで大きくないと思いますが。これが市道町道だったら、市町村の負担は大変ですよ。行政サービスのコストがかかる。だから、こういう山奥の集落は、基本的に無くす方向で、町の中心部に人を集めていこうという構想。
 
多くの田舎の市町村は、そういうことを考えていると思いますよ。うちの隣町もそういうことを考えているらしくって。隣町は、ものすごく広くて、集落も点在しているんですよ。山の尾根筋とか、なんでこんなところに人が?みたいなところに、数件の集落があったりする。そういうのを維持するのが難しいから、コンパクトシティにしたいらしいんですよね、町としては。
 
まぁ、それはしょうがないと思います。行政だって予算が無限にあるわけじゃないし。どうしても効率が悪いところが切られていくのは、いいんですけれども。
 
無責任な感想を言えば、つまらないよね、と思います。山の上に集落がある、それが良いんじゃない。そこが面白いんですよ。自分から、その面白いところを無くしてしまって、どうするんだと。皆がコンパクトシティの流れに行くなら、うちは点在で行こう、と。それがオリジナリティになり、観光化にも繋がると思いますけれども。
 
人の行く 裏に道あり 花の山、ですよ。皆が山奥や、不便なところから撤退していく中で、残り続ければ、それは希少価値になってくる。まぁ、実際は病院に通う必要がある高齢者とかで、もう山奥に住むのは嫌だという人がいれば、当然、そういう人はコンパクトシティの中で生きられるようにすべきだと思いますよ。で、一方で、「そんな山奥には誰も住みたくないよね」みたいな固定概念から、山奥の集落を捨て去ってしまうのは、あまりに勿体無い。
 
この辺は、山奥の土地に対する、田舎の人の価値観の低さっていうのがあって。田舎の人ほど、山奥に住みたくないんですよ。うちに来る人も、田舎の出身の人(要は地元の人)は、まぁよくこんな山奥に住んで、と言いますよ。いや、あなたのうちも大して変わらないだろうとか思いますけど、そういう感想を持たれる人が多いですね。一方、都会出身の人は、「超良い」って感じの感想です。当然、僕もそう思っています。好きで住んでいますからね。
 
単純に言えば、山奥って超良いと都会の人は思っているのに、田舎の人はそう思っていないから、コンパクトシティ構想で切り捨てる方向にいく。それが、超もったいない。田舎の自治体は、試しに、無人になった集落をまとめて、1億円とかで売りに出してごらんなさいよ。売れると思いますよ。今の時代、電気もネットもどうにかなるし、水さえあれば暮らせます。で、日本である限り、大抵、水はあります。で、何より素敵な環境があります。人里を離れた自然の中。それが最大の価値。
 
当たり前にあるものって、価値を感じませんからね。僕も東京に住んでいるときは、歩いていけるコンビニに価値を感じたことはなかったですが、今は、あれは便利なものだったなと思いますよ。田舎の人は、人が少ないこと、自然が多いことに価値を感じませんが、一番価値があるのは、そこなんですよ。
 
──【おまけのはなし】────────
 
今日は神社のお祭り。秋の神祭(じんさい)です。どういう意味があるのか、何を祝うのかは知りませんが、なんかおめでたいのでしょうね。行ってきます。
 
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