和噺

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近所のフランス人の噺

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        和噺   
                         R1/10/07
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近所にレオ君っていうフランス人が住んでいまして。もともと彼は、3、4年前に、うちにホームステイで来ていたんですよ。その時から、独学で日本語はペラペラでして、で、いつか日本に住みたいという希望を持っていたんですよ。
 
2週間ぐらい我が家にホームステイして、その間、いろいろな作業をしてもらいましたが、まぁ彼は優秀でして。うちに来る外国人の人も、正直、使える人、使えない人、ピンからキリまでいるんですが、彼はトップクラスに有能でした。何をやらしても、うまくこなす。漆喰の壁ぬりをやらせてみたら、まぁお上手。我が家の内壁の30%ぐらいは、彼が独力で塗りましたからね。
 
で、2週間ぐらいの滞在のあと、日本の他の地域も見たいっていうんで、たしか北関東とか北海道の方も行ったんですよ。それから半年ぐらい経って、彼から再び連絡がきて、もう一度、日本に行く、と。今度はワーキングホリデービザを取っているから、1年間、滞在できる、と。その間に正式な就労ビザを取って、できたらずっと日本にいたい、と。で、前回(半年前)、日本の各地を巡ったけれども、うちの村が一番良かったから、そこに住みたい、ってなことを言われました。
 
そうですか。光栄ですね。ってんで、ちょうどタイミング良く、集落の中心部(うちからは5キロぐらい離れている)に空き家が出ましたので、そのままレオ君を入れました。たぶん、村の数百年の歴史で、初フランス人。1年間のワーキングホリデービザがありますから、普通に働いていたんです。バイトですけどね、有名な企業とか、かなりオフィシャルな公共的な団体の仕事なんかもしていたんですよ。日本語ペラペラですから。面接して、普通に受かるんですよ。
 
で、そういう企業とか団体を通じて、日本政府に対して、ワーキングビザの発行をお願いする、という段取りです。いくら企業が「彼は、我が社に必要な人材だ」と言ったところで、それにOKを出すのは日本政府なわけです。で、結論から言えばダメだったんですけれども。というのは、前にも書いたと思うけれど、彼が大学を卒業していなかったから。専門学校的な、職人養成学校みたいなのは卒業しているんですけれどもね。大学を卒業していないというのが、アウトの大きな理由。
 
で、その時、彼は日本に家も車もあったけれども、もう出国せざるを得ない。仕事にもついて、周り(の日本人)からも頼りにされていたのに、フランスに帰らなきゃいけない。また帰ってくるよと言い残し、うちの村を後にしたのが半年ぐらい前。それから、パリのセーヌ川のほとりでバーテンダーをやり、金を貯め、つい数日前、日本に舞い戻ってきました。
 
今回はとりあえず観光ビザでの入国なんですが、3ヶ月の滞在期間の間に、就労ビザのゲットチャレンジを行います。なんか、宿泊業の外国人ビザが緩和されたらしくて、それを狙うらしい。また新たな利権団体ーーと言ったらまずいですね、資格の適性を判断するための立派なお仕事をしている集団ーーが、宿泊業検定みたいなのを作ったんですよ。それの何級だかと、日本語検定のレベルいくつだかを取れば、ビザの申請ができて、うまくいけばいいよね、という話。
 
まぁ、こんなのは全く個別の事例なんですけれども、個人的な見地から言えば、なぜ彼ほど日本語もできて、日本を愛していて、日本に住みたくて、真面目に働く人が、就労ビザを得られないのか分からない。まぁ、一つは彼がフランス人だってことですね。フランスの場合は、大学を卒業している専門職みたいな人じゃないと、ビザを取るのが難しいらしい。適当に言うけど、もし彼が東南アジアの国籍だったら、もっと簡単に就労ビザが取得できたかもしれない。
 
日本が望むと望まざるとにかかわらず、今後、国際化の流れに向かうことは間違いないわけでして。外国人、移民に対して、どう向き合っていくか、その態度をしっかりと決めないといけない。青いようですが、一番いいのは「愛」だと思うんですよ。日本に対する、愛。別にそれがアニメや漫画きっかけだって構わないけれども、日本語をきちんと話せて、日本文化を学び、日本の一員となろうという人に対しては、どんどん門戸を広げるべきだと思います。
 
それに対して良くないのは、労働力が足りないから、移民を受け入れようというやつ。これはいけない。というのは、それは日本人がやりたくない仕事を押し付けるだけだから。奴隷を輸入している、ってことですよ。介護や建設の人手が足りないというけど、それは自分たちが必要としていることなのだから、自分たちで何とかするのが真っ当です。給料を上げるなり、待遇を良くするなりという方向で考えるべきだって、待遇改善をしないまま奴隷を輸入しようというのは、よろしくない。
 
よく知らないけど、日本の移民政策というのは、この「奴隷」を輸入するか否かの議論に終始しているような気がします。それも、奴隷として働かされる人のことは考えずに、治安が悪くなるとか、日本人の仕事がなくなるとか、こちら側の勝手なことばかりを言っている。とても、よろしくない。議論のどちら側もよろしくない。相手のことを考えなくては、いけない。日本人が嫌う仕事に従事してくれる移民の人は、一時的にはお金を得て幸せになるかもだけど、日本社会に溶け込んで永続的な幸福を手に入れられるとは思えない。
 
そして一方、普通に「日本人になりたい」と思ってくれている人に対する門戸が無い。フランス人でもナミビア人でも何でもいいんですけど、ある程度の日本語が喋れて、日本文化に対する理解があって、日本人になりたい、日本社会の一員になりたいと思ってくれる人に対しては、門戸を広げたほうがいい。それは、来た人が幸せになれるから。そして、幸せな人が来てくれれば、日本人も幸せになれるから。
 
移民の話において「幸せ」なんていう物差しは、あまり検討されたことは無いと思いますが、そこが一番、重要だと思う。なんのために経済を動かすか、仕事をするのか、全ては「幸せ」になるためなんですよ。幸せに生きられれば、それで良いのです。だったら、移民政策においても、幸せという物差しを取り入れないといけない。そして、日本人が幸せになるためには、移民として日本社会に加わる人が幸せでなければいけない。それは、奴隷として扱うのではなく、日本社会の一員として受け入れることでなければならない。
 
ってことで、コンビニの深夜バイトが外国人ばかり、みたいな風潮は良くないのです。どこにも、満遍なく、外国の人が入っている状態が理想系です。役場にも、農協にも、銀行にも、いろいろなところに、日本を愛して移住してきた、日本ファンの外国の人がいてくれる状態というのが、移民受け入れの理想型かなと思います。ま、レオ君、試験に受かっていると良いけどね(昨日、日曜日が試験だったので)。
 
さて。なんか今日は寒いですね。寒暖の差が激しい。みなさんおはようございます。元気ですか。僕はまあまあ元気です。ではまた明日。チャオ!
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
ポツンと一軒家に住んでいる人にいろいろと聞いた週間現代の記事
 
全国各地、いろいろなポツンと暮らし。まぁ、北海道は大変だよね。寒いって大変ですよ。シンプルに大変。僕は移住先を探すとき、雪の降らない地域(雪下ろしをしなくてもいい地域)という縛りで探しましたね。スキーも別にやりたいと思わないし。
 
ま、毎度言うように、田舎は千差万別なので、良いところもあれば、大変なところもあるし、また、それも人それぞれ。相性もありますから。ある人にとっては良い地域でも、別の人には、そうじゃないこともある。結婚みたいなものですよ。と、適当な例えをしてみるの巻。
 
──【おまけのはなし】────────
 
なんか最近、我が家のヤギが脱走していましてね。別に、どこかに逃げることはないんだけど、我が家の周りをウロウロしていることもある。そういう時はヤギ小屋の方に追い込んでいくんですけれども。問題は、うちから町の方へ行く一本道、ここにヤギがいた時、うちから追うと、ヤギがひたすら町の方(ヤギ小屋とは逆方向)に行ってしまう。
 
だから、どこかでヤギを追い越して、僕が町側に行って、逆方向に追い込まないといけない。これが難しい。細い道だからね、迂回できないんですよ。知らぬふりをして近づいて、ダッシュで抜き去り、Uターン、みたいなことをしています。ヤギダッシュ。そんな感じの日々。ちなみに原因は分かっていますよ。石垣が崩れていて、そこから登って脱走するんですよ。ま、二、三日のうちに封じ込めますわ。
 
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