和噺

まぐまぐで配信中のメルマガ「和噺」の過去ログです

ありがとう草刈りの噺

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        和噺   
                         R1/10/06
───────────────────
 
スペイン人のジェラルド君に4000円、貸していたんですよ。なんか彼、鍼(はり)治療を受けたいとか言ってきて、たまたま僕の知り合いでフリーの鍼師がいたから呼んで、その時ジェラルドの手持ちが無かったから、お金を貸したんですけど。で、昨日、ジェラルドがその4000円を返してくれたんですよ。
 
2000円札、2枚で。
 
おわー、久しぶりに見たな2000円札。なんか最初、脳が2000円札を認識していなくって、あれ、ユーロ? でも2000って書いてあるよね、こども銀行券? とか1秒ぐらいの間に色々な方向への予測が脳内をよぎり、あ、これ、2000円札だ、と。スペイン人が2000円札を渡してくるというのが、全くの想定外でしたからね、脳がプチパニックを起こしましたよ。
 
今、調べたら、2000年に発行されたんですって、2000円札。小渕首相の時。最初の1年ぐらいは、時々、見かけた気もするけれども、それ以降はとんと見なくなりましたね。僕の祖母が、当時、買い物をして、お釣りが5000円だったはずなのに、2000円札を渡されたんですって。で、渡す方も渡された方も気づいていなかったんでしょう、家に帰って初めて気づいた。で、3000円、損した、と。今更、お店に言えない、と。その話は以降、10年ぐらいに渡って愚痴られましたよ。
 
そんな2000円札と久々の再会です。で、うわーって盛り上がる僕を、いぶかしがるスペイン人。そりゃそうだ、なんで2000円札で盛り上がっているのか、彼には意味不明でしょう。いや、それ以前にこちとら、お前が2000円札を持っていることの方が不思議なんだけど。どこで手に入れたのかと聞いたら、スペインで、だって。スペインで日本円に両替したら、全部、2000円札で返ってきたんだって。今、財布には2000円札しかないよ、だって。マジかスペイン。
 
沖縄県に2000円札があるってのは知っていましたが、スペインに流出していたとはね。はい、おはようございます。僕です。みなさんお元気ですか。僕は昨日、かなり草刈りをしましたので、ちょっと肩甲骨周りが筋肉痛ですね。
 
昨日は草刈りを2時間ちょっとやりまして。一口に草刈りと言いましても、平地で、草丈が50センチぐらいなら、こんなものは散歩と変わらないのですが、昨日のように、急斜面で草丈が1メートル超えとなると、かなりしんどいです。踏ん張る足も疲れるし、草を横になぎ倒すのも、単純に重いですからね。
 
さて、以前にもーーといっても9年前ですがーー書いた覚えがあるのですが、僕は未だに「ありがとう草刈り」ってのを行なっています。自己啓発と草刈りをミックスさせた独自の理論です。今日は改めて、ありがとう草刈りについて、ご紹介しましょう。
 
自己啓発本を読むと、世の物事に感謝しなさい、そうするとポジティブになって夢が叶って素晴らしい人生が来るから、マジ感謝はリスペクト!みたいなのが、たくさん書いてあるじゃないですか。で、「ありがとう」は魔法の言葉、とか、「ありがとう」を言い続けると心が綺麗になるとか、いっぱいあるじゃないですか。たまごボーロもありがとうを聞いて作られているんですよ(詳しく知りたい人はググってください)。
 
だけど、ありがとうって声に出して言うのって、はばかられるでしょう。僕、常識人だし。紳士だし。恥ずかしいし。なんか宗教っぽいし。自己啓発本を読んでも実行するのは1%である、みたいなのは、よく言われますが、ありがとうに関していえば、僕は99%の方ですよ。ありがとう、って、別に声に出して言わないから。ふーん、ってなもんで読んで終わりですよ。
 
ところが、そうだ、草刈りと合わせればいいんだ!と思いついたんですよ。草刈りの間って、暇っちゃ暇なんですよ。少なくとも、口は暇しているし、脳も暇している。電動草刈り機なら音が静かだから、オーディオブックと組み合わせることもできるんですけど、運動量の多い斜面だと、エアーポッドも落ちかねないし、そもそもエンジン式草刈機を使うことが多いのでオーディオブックが騒音で聞けないし、やることないんですよね。(草刈りはしているんだけど)
 
で、ありがとうの自己啓発ですよ。草刈りをしながら、ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう、と、呪文のようにつぶやく。僕の恥ずかしい自己啓発も、エンジン音にかき消されて誰にも聞こえない。ながら作業なので、時間も消費しない。で、草刈りのテンポも良くなるんですよね。なんて言うんですか、1、2、1、2、と言いながらランニングしている感じになる、みたいな。ありがとありがとありがとありがと、の4サイクルで、草刈りを1往復、って感じ。
 
で、ありがとうと言い続けていると、心に変化が起こります。というのは、「ありがとう」は感謝の言葉ですから、自然と、その対象を探すようになるんですね。ただ音声を言い続けられるってものではないんです。「アサンテ」だったら、言い続けても感謝の対象を探そうとは思いません、それは、アサンテがスワヒリ語で「ありがとう」の意味だってことを、普通は知らないからです。知っている言葉には、意味が必ず付随しており、その意味を抜きにして音声を言い続けるっていうのは、不可能です。
 
だから、ありがとありがとありがとって言い続けると、自然と、何かに感謝しなきゃ、という気持ちになるんですよ。ま、僕はありがとって言いながら草刈りをしていますから、刈られる草なんかも対象になりますよね、刈られてくれてありがとう、みたいな。意味わからないけど、とりあえず「ありがとう」は、近場のものでも対象を求めるんですよ。何にでもくっつきたがるんです。不安定なイオンみたいなものです。経営がうまくいっていないイオンってことじゃないですよ、化学のイオンのことです。
 
で、刈られる草に対象を求め、飽きてくれば、虫や自然に感謝の対象を求め、五体満足の我が肉体に感謝の対象を求め、周囲の人に感謝の対象を求め、みたいな感じで、周りの人にマジ感謝!状態になります。ポイントは、まず「感謝」という感情があるのではない、ということ。「ありがとう」という音声を発することにより、気持ちが変わってくる、という順序。
 
同じ理論で言えば、無理やり笑顔を作ることによって、気持ちを上げると言うテクニック。笑顔になれば、普通、気持ちも嬉しくなるものです。だから、気持ちを上げるためには、まず、口角を上げろ、となるんです。幸せだから笑うのではなく、笑う(笑い顔を作る)から幸せになる、と言う順序。形から入る。笑顔では怒れないんです。それができるのは竹中直人さんぐらいのものなんです(意味が分からない人はYouTubeで検索して)。
 
ってことでね、まずは形から入る。感謝の気持ちも、まず、形から。気持ちなんていうのは、本人でも把握できない、あやふやなものだから、どうでもいいんですよ。他者から公平に判断できるのは、形。気持ちを上げたければ新しい服を買う、なんていうのも、そういうテクの一つですよね。外面を変えて、それで内面が変われば、それでまた外面が変わり、という良いサイクルに入ります。
 
ありがとう、という感謝は、人間関係の潤滑油、なんていうベタな表現をしますが、本当にそうだと思うのでね、そう書きますけれども。なんか周りとうまくいかないっていう場合は、草刈りの間に、ありがとうって言うといいですよ。ってことで皆さん、スペインで両替するときは2000円札がくるのを覚悟してくださいね。もしくは、2000円札を出してきた外国人がいたら、こいつスペイン人だな、と思ってください。ではまた明日。チャオ!
 
──【おまけのはなし】────────
 
老いてきた初代猫。軽トラの荷台で寝てるばかりなので、二代目猫をもらってきました。もうそろそろ、一ヶ月。子猫(二代目)もずいぶん大きくなり、昼間は外で自由行動をさせています。夜は、土間で寝泊まり。ただ、初代と二代目の仲がどうにも悪い。初代が二代目を毛嫌いして、フーッと、敵意を剥き出しにする。初代は、人間には誰にも人懐こいのだけれども、なんで猫は嫌いなんだろうね。不思議。
 
──★バックナンバーはこちらから───
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━