和噺

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裁判員裁判の噺、その2

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        和噺   
                         R1/09/27
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昨日の続きー。ところで、雨ですねー。なんか明日、大川村(近所)で自動車ラリーのイベントがあるってから、行ってみようかとも思っていたけど、この天気だと、子連れには厳しいですね。一転、晴れることを期待していますが。ラリーは、子供の頃、パリ・ダカを夢中になって見ていましたね。篠塚さんが活躍していた頃。F1は全然、面白いと思わないんだけど、ラリーは昔っから惹かれるね。なんだろうね、これ。精神分析的には、どういうやつなんでしょうか。教えてフロイト
 
さて。おはようございます。僕です。雨です。しとしと、寒げです。サムゲタンです。丸鶏煮込んでサムゲタンです。ってことで昨日の続きですよ、裁判員裁判の話。なんの話やねん、って人は昨日のメールから読んでね。何かのはずみで今日から配信されたって人は、一番下に、バックナンバーのブログへのリンクがあるから、そこから昨日のを、まずは読んだ方がいいと思うです。
 
で、時間ギリギリに入室したため「36番」の僕、見事当選です。しかも補欠ではなく、ちゃんと当選。へえ、当たるもんだね。まさかとは思ったけど、ほんと、びっくりしましたわ。36人中、補欠を含めて8人が当選で、あとの24人はここでバイバイ、帰宅します。
 
一応、交通費が出た記憶がありますね。後日の振込だったと思うけど、数千円。往復の交通費と、1時間ぐらいの拘束(仕事?)ってことで。で、これもたぶんだけど、距離が長い人は、その分、高く出るはず。足摺とかから来たのなら、1万以上は出るでしょうね。って考えると、まず、この抽選会だけで数十万円ぐらいの出費にはなっているんだね、なんかすごいね、裁判員制度
 
で、選ばれし8人の者だけが別室に通されて、改めて裁判官と、ご挨拶。今後の日程などの説明があります。事件によって、どのくらい審議に時間がかかるかは全然違うんだけど、僕が参加する事件は、4日を予定している、とのこと。たぶん4日だったと思う、いや、なにぶん数年前の記憶なので、3日か5日だったかもしれませんが、たぶん4日間。で、これも、揉めたりしたら長くなりますよ、とか言われる。基本的に何時から何時まで、と、ざっくりの予定の説明。
 
で、その後、裁判所の見学。ここに座るんですよー、みたいな。裁判所の、ほら、ニュースで裁判官が座っているところ、あるでしょう。あの横に裁判員の席があって、座るんですよ。裁判官の3人が中央で、その右に3人、左に3人の、裁判員。「向こう側(被告人席)は座ろうと思えば座れますけど、こっち側は、なかなか座れませんからね(笑)」とか裁判官がギャグを飛ばしてきましたが、そんなに受けていなかったですね。
 
審議は、僕を含めた裁判員の6人と、裁判官(プロ)が3人の、合計9人で進めます。補欠の2人は基本的に審議に参加せず、黙って見ているだけ。本番の時、裁判所にも入れない、はず。たしか2人は別室で待っていた気がする。かわいそう。でも、一応、お給料は同じだけ出るらしい。よかったね、補欠。
 
さっき金の話をしたから、ついでにしておくと、審議の日の日当は12000円ぐらいだったと思う。多いのか少ないのかは分からないけれども、実働は4時間ぐらいだから、まぁ、一般的には多い方の部類じゃないでしょうか。こういうのも、都道府県によって違ったりするのかね。一応、もう一度繰り返し言っておきますと、あやふやな記憶ですからね、15000円だったかもしれないし、11000円だったかもしれない。アバウトな記憶を元に、お送りしていますからね。
 
で、早速、明日から審議が始まるので、何時に来てください、みたいな説明がありました。そんなこんなを網羅したプリントをもらって、目を通していたら、その中に「託児サービス」ってのが、あったんですよ。
 
当時、うちには4歳と2歳ぐらいの子供がいてーーということは、6、7年前の話だな、これーー、保育園には通っておらず、うちで面倒を見ていたんですね。で、ふと、この託児サービスってのが気になったから、何ですかこれはと尋ねたら、裁判員が育児中の主婦の場合もあるし、裁判員の仕事(審議)をする間、子供を預かるサービスがあるんですよ、とのこと。
 
へぇ、いいじゃないですか。別に、うちで妻に見てもらっていてもいいんですが、せっかくだから利用しましょう。ってことで、うちに2人の子供がいるんですが利用したい、って言ったら、この制度の利用申し込みをする人は初めてだったらしくて、職員さん、あたふたあたふた。ちょっとお待ちください、なんて言われて、いろんなところに電話を掛け出して、「何とかなりそうです」だって。いや、お前発信の制度やないんかい、なんかこっちが無理言ってる雰囲気になってますけど!?
 
託児サービスは、裁判所で預かるわけじゃなくて、近くの保育園が臨時で、一時保育みたいな形で引き受けるんですって。で、裁判の審議が始まる前に、お子さんを、ここの保育園に連れて行ってください、との説明。普通、一時保育をするにしたって、事前の登録なり、いろいろな手続きが必要で、じゃあ明日から、って話には、なかなかならないと思いますが、そこは国家権力ですわ、ねじ込めるんですね。見たこともない保育園に、いきなり一時保育で預ける事になりました。
 
カラスかぁで夜が明けて。
 
さあ、裁判です。黒いポンチョと右手にハンマー、やる気マンマンの出で立ちで、幼児二人を伴っての出勤ですよ。車でドライブ1時間。高知市内の保育園に、よろしくー、って言って置き去りにします。そういえば、この時がうちの子にとって初めての保育園だったんですけど、泣きも叫びもくずりもしませんでしたね。普通に、わーい、って言って初見の保育園に入って行きましたわ。変な奴。で、身軽になって裁判所へ。
 
いやー、ほんと独身って楽ですよね。今も覚えている、この開放感。裁判員になって何が良かったって、子供と離れられたことね。自由。自由!自由!!!フリーダム!!!!! 僕は、日本でもトップクラスに育児をしていると思いますが、マジ大変だからね、子供と一緒にいるの。普通に働く方が、超、楽チン。いや、普通に働いたことは無いんだけど、少なくとも、この裁判員のあたりのことで言えば、裁判員の方が、はるかに楽チンで楽しかった。
 
というのは、これは裁判員裁判が終わった後の話ですけど、他の裁判員の方と、感想とかを言い合うわけですよ。他の人は、大半が勤め人でした。たぶん。たぶん、ってのは、最後まで素性は分からないままだから。名前も知らないから。で、他の人は、もうすごい大変だった、これは二度とやりたくない、ぐったり疲れた、みたいな感想だったんですけど、僕は、超楽チンだなと思ったし、何なら、むしろ楽しかったですからね。育児の方がはるかに大変。
 
ま、これも子供によるんだけどね。大変な子もいれば、そうじゃない子もいるから。個体差が激しいから。だけど、僕に関して言えば、裁判員の仕事は育児に比べたら、比べ物にならないほど楽チンでした。だって、一人でご飯を食べられるじゃん!みたいな。完全に休める時間があるじゃん!みたいな。
 
ってことで、保育園に幼児2人を放り込んで、ウッキウキですわ。数年ぶりぐらいに、自由に動ける楽しさです。裁判所の駐車場にドリフト駐車し、で、壁に激突してドアが開かなくなったから、右手のハンマーでフロントガラスを叩きわって脱出、ポンチョが血まみれになったけど、もともと黒かったから分からないね、ラッキー!ってな感じで、裁判員のお仕事開始です。
 
まずは自己紹介。と言っても、先ほど、裁判員の人の素性は分からないままだった、と言いましたが、そうです、なんか公正な審議のためだか何だかで、名前は明かさないんです。「コードネームで呼び合うんですか? じゃあ、僕はファルコンで!」と言ったんですが、単純に番号で呼び合うらしいですね。1番さん、2番さん、みたいな。この番号は、抽選時の番号が小さい順、つまり、抽選の日に入室した順番です。真面目順です。ってことで、時間ギリギリに入室した僕は6番さん。僕の隣にいた35番のサラリーマンは、5番さん。
 
覚えている限りの、他の裁判員さんの説明をすると、1番さんは、50歳前後の男性だったと思う。2番さん、若い女性。3番さん、自営業ぽい雰囲気の中年男性。4番さん、初老の女性。で、5番が僕の直前に抽選日、入室した50歳ぐらいのサラリーマンで、僕が6番さん。補欠1番が30歳ぐらいの男性で、補欠2番が30代半ばの女性。だったと思う。当然、あやふや。
 
で、裁判官から、注意事項がありました。要は、素性はお互い明かさないでね、聞かないでね、ということ。どこに住んでいるとか、そういう話題も避けてください、とのこと。あと、新聞も見ないでください、と言われましたね。その事件に関する情報を、裁判所以外から得ないでください、ってことです。いろいろな憶測が入るといけないので、とか。当然、ネット検索もやめてください、とのこと。
 
え、それはどうなの、と思いましたがね。そういうのも含めて判断するのが「市民の判断」なんじゃねぇの、とも思いましたが。まぁ、どうせこの時は、僕は新聞もとっていないし、ネットも見れていない、テレビも無いので、ま、どうでもいっか、と思いましたが。一応、そういうことらしいですよ。重大な事件の裁判員になったら、ニュースもネットも、何も見れないですね、一応、ルール上は。
 
ま、そんなこんなで審議が始まるわけですよ。ところで、僕は、三谷幸喜さんの「12人の優しい日本人」っていう作品が大好きでしてね。いや、映画でしか見たことないんだけど(もともとは舞台作品)、中原俊さんの監督作品ですよ、これが大好きでね、3回ぐらいは見ています。どんな映画かっていうと、もともとはアメリカ映画の「12人の怒れる男たち」って映画があって、これは数十年前の映画ですが。
 
「12人の怒れる男たち」は、裁判員裁判の話で、ある事件について議論する中で、真相が二転三転、どんどん判明していくというミステリーもの。三谷幸喜さんの「12人の優しい日本人」は、それのパロディ映画で、日本人が裁判員の議論をした場合に、こんな感じになるよ、みたいなやつ。裁判員制度が始まる、ずっと前に書かれた作品です。アメリカ人と比べて、みんなふわふわしていて、話もあっちに、こっちに、とても面白い素敵な作品です。中原俊さんは「桜の園」も大好きだけど、「12人」の方が好み、ま、どっちも面白いから見てみて!
 
で、その「12人の優しい日本人」を3回は見ている僕ですから。言ってみれば、これは初めての裁判員裁判ではなく、4回目の裁判員裁判ですから。ベテランですよ。気分はベテラン。僕が真相を解明してやるぞ!ぐらいに意気込みで参加したわけですが。さて、ここで、今回の事件の説明が裁判官からありました。
 
「今回の事件は、被告人も認めているので、有罪無罪の審議ではありません。どの程度の罪にするか、というだけのことですので、そう時間はかからないと思います」
 
ですってよ。ですよ! ですよの毎日は楽しいこといっぱい!!! あれ、今ググったら「ですよ」は「あやまることいっぱい」だったわ。記憶がポジティブ方向に塗り替えられていましたわ。で、今、知ったけど、「ですよ」の元相方は「もう中学生」なんだって。へぇ。いらぬ知識を増やしてしまいましたわ。消去しないと。ま、そんな感じで審議が始まりましたよ。続きは明日! アディオス!
 
注)ですよ。を全員が知っている前提で話してすいませんね。でも全員知っていますよね。分からない人は、自分の無知を、この場合は恥じずに誇っても問題ないと思います。
 
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