和噺

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憎まれっ子は世にはばかる噺

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        和噺   
                         R1/09/17
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秋ですねー。メルマガですから、世界中で読んでいる人がいると思って書いていますから、そちらは常夏かもしれないし、南半球かもしれないけど、こちらは秋です。東京に住んでいるときは、あまり感じたことがなかったんですけど、山に住んでいると「秋が来た」と感じることがあります。なんでしょうね、ヒートアイランド的なことで、都会だと温度の変化が少ないのかもしれない。こんにちは。僕です。こちらはとても涼しいです。
 
「憎まれっ子世に憚(はばか)る」というコトワザがあります、ってところから話そうと思ったら、同名のあいみょんさんのアルバムがあるんだね。グーグルが真っ先にそっちを差し出してきましたけど。
 
あいみょんさんは、数年前に、まだインターネットが繋がっていないときに、ドライブ中にラジオで「君はロックを聴かない」を聞いていて、そのメロディとか声が「シュガーソングとビターステップ」のUnion Square Gardenに似ていて、というか、かなり長い間、Union Square Gardenの曲だと思っていましたわ。どうですか。賛同は得られますか。昨日、書いたように、僕は音楽に人並み以下の興味しか持ち合わせていないので、相当、トンチンカンなことを言っていると思いますが。
 
『君はロックを聴かない』あいみょん
 
 
あれ、改めて今、両方を聞いてみたら、かなり声が違うね。ま、雑音混じりのカーラジオで聞いていたからね。なんか音楽に詳しい人、「あ、これは両方とも何とかビートの何とかリズムで結構メロディに共通点があるんですよ、さすがよく気づきましたね」みたいなことを絞り出して、僕を励ましてくださいな。
 
で、憎まれっ子世にはばかる、ですよ。ほら、グーグルがあいみょんの曲を紹介するから、こういうことになる。無駄話を初っ端からご披露する羽目になる。ただ、ことわざの「憎まれっ子世にはばかる」について思うところを書きたかっただけなのに。
 
「憎まれ(以下略」は、真実だと思っていますが、なんでそういうことが起きるのかと説明します。これは共同体サイズの問題なんですよ。省略されている言葉があります。「(小さな共同体の)憎まれっ子は、(大きな共同体の)世にはばかる」という意味です。
 
現代社会、というか、資本主義社会は「大きな共同体」です。いくらアメリカと北朝鮮が理解し合えなくても、「お金」という価値は、両者とも認めている、というか、世界中のほとんどの人が、そこに価値を認めている。お金に価値があるという共同認識がある、巨大な共同体です。アルカイダもテキサス親父も金正恩も、お金の価値を認めているという共通点があるんです。
 
そういう大きなサイズの世界では、ある程度、独善的に行動する方が成果を得やすいです。ゲーム理論の話です。ゲーム理論ってのは、いろんな条件を定めて、その条件において、最も有利な行動を探るという学問。入門書を一冊、紹介しておきます。学生時代の後輩の書いた本。ネットがつながってフェイスブックでアカウントを作ったら、彼から20年ぶりぐらいに連絡が来てビックリしました。インターネットしゅごい。
 
ゲーム理論 入門の入門』鎌田雄一郎 著
 
で、初対面の人との取引や、一見(いちげん)さんとの取引が可能な「大きな共同体」、すなわち都会での最適な行動は、可能ならば人を騙し、裏切ってもいい、自己の利益を第一に考えた方がいい、ということ。大企業のCEOがサイコパス的だったりするのも一例です。それに対して「小さな共同体」での最適行動は、他者の利益を優先することだったりします。
 
小さな共同体では、取引相手が限られていて、その人たちから見捨てられたら生きてゆけない。だから、周りと協力して、波風立たせず、他者利益を優先することが必要になります。そういう小さな共同体での最適解は、大きな共同体での最適解と一致しないんです。独善的な人は、小さな共同体では「憎まれっ子」になりますが、初対面の人が多い「大きな共同体」では、大いに成功する可能性があるよ、って話ですね。
 
んで、逆の場合も当然、ある。逆の意味というか、主人公が変わっているだけで同じ意味なんだけど。「正直者がバカを見る」ですね。(小さな共同体での)正直者は、(大きな共同体では)損をしてしまう、ということです。これも、共同体のサイズによって価値観や成功法則が変わるよ、ということです。
 
ほとんどの人は、まずは、小さな共同体で生まれ育ちます。別に田舎出身ということじゃなくて、その小さな共同体というのは、家庭であり学校です。数十人のクラスメイトと、四六時中、一緒にいるという小さな共同体です。成功した社長や政治家などの、大きな共同体で「はばかった」人物が、学生時代に浮いていたり、そもそも学校に行っていなかったりするのは、共同体の最適解が変わったからです。大きな共同体ではばかれる性格は、小さな共同体では嫌われることが多いのです。
 
ってことで、ライフハック的なことを言っておけば、社会で成功したければ、家庭や学校で「良し」とされていた価値観のままでは難しいよ、ということです。周りにどう思われるかとか、あんまりそういうことを気にしない方が良い、ある程度、憎まれっ子になった方が良いよ、ということです。
 
ですが。SNSとかの時代。この「大きな共同体」で、一見さんの取引をやることが難しくなりつつありますよね。悪い噂も、あっという間に広まってしまう。インターネットの発達により、見知らぬもの同士の「大きな共同体」が、知ったもの同士の「小さな共同体」になりつつある、というか、無数の小さな共同体がつながった大きな共同体になってきている。
 
中国が「信用スコア」ってものをやり出すそうですね。国をあげて、その人の「信用」を数値化しようというのは、小さな共同体の価値観を、大きな共同体にまで広げようということですね。逆転現象というか、揺り戻しです。もちろん、今の日本という状況に限って言えば、まだまだ憎まれっ子は世にはばかれると思うし、正直者がバカを見ることも多いと思うけれども、そのうち、はばかるのが難しくなるかもね。
 
そして、その方が良いことだとも思います。良いことっていうか、大多数の人が幸せになるんじゃないかな。毎度言うように、人間の本能的な共同体サイズは百数十人の「小さな共同体」ですから、大多数の人間は、そのくらいの共同体での適正な価値観を持っています。知り合いには優しく、見知らぬ人には冷たく。ごく普通の価値観です。幸福に生きるためには、社会で成功する価値観と、本能的な価値観が、似通っている方が良い。本能的な欲求が充足されるからね。
 
だから個人の信用を数値化するというのは、多くの人にとっては、良いことになるんじゃなかろうかと思う。そういう価値観に当てはまらない少数の人、つまり憎まれっ子は損をすることになりますが、ま、そんなに心配することもないでしょう。何しろ、憎まれっ子は、いつの世もはばかるものだとも、思いますからね。
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
千葉の停電で自家発電機が役に立ったよ、ってニュース
 
うちは、個人での電線が何十メートルもあるから、そして森の中だから、台風などで木が倒れて停電するリスクは考えています。だから発電機もガソリンも常備しているけど、ま、普通はしていないよね。うちはホンダの発電機を持っています。幸い、まだ災害で使ったことはありませんが。数万円のものだから、持っておいてもいいんじゃない? 保険だと思えば、安いものです。マンションやアパートだったら、共同購入してもいいんじゃない?
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
ゲーム理論 入門の入門』鎌田雄一郎 著
 
メルマガ本文でも紹介したけれども、改めて。ゲーム理論の、本当に入門的な新書です。身近な例えが多くて、読みやすく、面白かったです。ゲーム理論ってのがどういうものか、全然知らない人に、オススメです。当然と思っている善悪の価値観は、ゲーム理論では、それが集団での最適解になるとか解明されて、なるほど、善悪も分解すると数学になるんだなと思いました。
 
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