和噺

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バナナとゴムの噺

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        和噺   
                         R1/08/31
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バナナの病気「新パナマ病」ってのが南米に広がってきて、バナナが超ピンチってニュースがやってました。
 
バナナのメイン品種であるキャベンディシュがやられる病気ですね。人間にはうつらないんだけど、バナナの木が枯れちゃいます。で、バナナはたくさんの品種があるけど、生産量の半分ぐらいがキャベンディッシュです。つまり、世界の半分のバナナがやばいってことです。
 
そもそも、この新パナマ病は東南アジアや中国ではすでに広がっていて、たくさんのバナナがやられていたんだけど、それがついに、世界のバナナの一大産地である南米にもやってきた、ってことです。今回、新パナマ病が確認されたのはコロンビアだけど、隣国はエクアドルです。スーパーのバナナでエクアドル産ってめちゃめちゃありますしね。まじやばいです。バナナがやばい。
 
なぜそんなに広がるかっていうと、バナナってのは遺伝子的に全部、一緒なんですね。バナナって種が無いでしょ。だから、種で増やすことができないんですよ。どうするかっていうと、細胞からクローンを作る。で、バナナの苗を作るんです。だから、遺伝子的にはキャベンディッシュは全て同じ木なんです。「人間」がいっぱいいるんじゃなくて「阿部寛」がいっぱいいるみたいなものですよ。
 
遺伝子的な多様性があれば、ある病気が流行ったとしても、かかる人もいれば、かからない人もいるわけです。インフルエンザが猛威をふるったって、かからない人はいる。なぜなら、人間は個人個人で遺伝子が違うからです。だけど、遺伝子が一緒なら弱点も一緒だから、かかる場合はかかってしまう。ザ・タッチは一緒にインフルエンザにかかるし、かからない時はかからないんです。まあ、コンビだしその方が便利っちゃ便利かもしれないけど。
 
で、世界中の人間が阿部寛だったら、阿部寛が免疫がないタイプのインフルエンザが流行ったら、人類皆がインフルエンザにかかるわけですよ。阿部寛が死んだら、人類が滅亡するわけですよ。クローン栽培ってのは、そういうことです。エクアドルのキャベンディッシュも、インドネシアのキャベンディッシュも、全く同じ阿部寛です。スーパーのバナナ売り場には、世界各国から集結した阿部寛が並んでいるわけです。
 
遺伝子の多様性が無いってことは、このような弱点があります。もちろん、それ以上に利点があるから、世界中に広がっているわけですけれどね。種がないと食べやすいし。美味しいし。阿部寛はカッコいいし。ただ、それは綱渡りの上にいるようなもので、いつ破滅してもおかしくない、ギリギリの線の上で成り立っているものなわけです。で、それがいよいよヤバくなってきたんじゃね、というニュースでした。
 
まあ、バナナが無くなってもバナナが無くなるだけなんだけど、それよりヤバい作物があります。ゴムです。
 
ゴムって、ゴムヒツジの乳を搾って発酵させたチーズ状のものをベースにして作られていて、そのゴムヒツジがミシュランマンのモデルになっている、と、そんなわけはなくって、ゴムの木の樹液である「ラテックス」から作られるわけですけれども。このゴムの木が、バナナと同じく、クローンなんですわ。遺伝子的に阿部寛ですわ。
 
で、ゴムの木って最初はブラジルで栽培されていたんだけど、ブラジルでゴムの病気が流行ったんですよ。で、ブラジルの阿部寛がみんな死んじゃったんですよ。残ったのが、東南アジアのゴム。現在は、世界のほとんどのゴムを東南アジアで生産しているんです。タイ・インドネシア・マレーシアとか。で、ここにブラジルにある病気が広まってしまうと、世界がマジやばい。バナナどころじゃなく、ヤバい。
 
ゴムって半端なく重要な資源ですからね。ゴムなくしては、現代文明が成り立たない。タイヤも作れない、工場も稼働しない。そして、それに代わる物質が未だ無い。石油と並ぶレベルの超重要資源です、ゴム。
 
ゴムって、そもそもはアマゾンが原産地で、現地のインディアンの人たちは、昔からゴムってのを知っていたんですね。樹液を集めてボールみたいなのを作ったり、桶にためて手を突っ込んで乾かして剥がして「手袋〜」とか、足を突っ込んで乾かして剥がして「長靴〜」とか、やっていたんですよ。で、コロンブスがそれ見て、何それ超面白いじゃん、って言って、ヨーロッパに持っていったんですね。
 
だけど、何の加工もしていないただのゴムって、温度変化に弱いらしいです。暑くなるとベトベトするし、寒くなるとカチカチになるし。つまり、おもちゃとしては面白いけど、タイヤに使えるような、実用性のあるものじゃなかった。で、それをなんとかするぜよ!と立ち上がったのが、アメリカのグッドイヤーさんという人。
 
この人、なんとしてでもゴムを実用化してやる!ってんで、ずっと研究して、だけど借金まみれになって、何十年も苦労して、やっとこさ「硫黄をイイカンジで混ぜれば、すげーイイカンジのゴムができる!」ってのを発見して、現代のゴム(NEWバージョン)を作ったんですよ。超偉人ですよ。マジで世界を変えた人です。タイヤメーカーの「グッドイヤー」に名前が残っていますが、なんかグッドイヤーさん本人とは全然関係ないらしいね。グッドイヤーさんは死ぬまで借金まみれだったらしい。
 
ま、グッドイヤーさんのおかげで、現代文明が築かれたといっても過言では無いくらいの人です。そのうち大河ドラマになると思います。で、ゴムの木が世界中で栽培されることになったわけです。だけど、さっき言ったように、ブラジルのゴムは病気で全滅しちゃって、今、生産地は東南アジアに移っているわけです。
 
すると気になるのは、東南アジアのゴムの木は大丈夫なの?ってことですね。どうなんでしょうね。実際、いつ病気が広がってもおかしくないわけですよ。だって、南米の土壌には、その病気があるわけですから。ひとかたまりの病原菌を含んだ土が、東南アジアのゴム農園に混ざったら、世界文明が終わりなんです。マジやべえ。
 
だから、東南アジアからブラジルって、飛行機の直行便が無いんですよ。どっかで乗り継ぎしなきゃいけない。だって、危険だから。ゴムがやばいから。乗客の靴についた土ひとつで世界がヤバイから。阿部寛がやばいから。世界は、そんな綱渡りの上に成り立っています。怖いね。南米から東南アジアに行くときは、世界を滅ぼさないように気をつけてね。また明日。チャオ!
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
デンマークの「人間図書館」のサービス
 
「人間」を「本」に見立てて、貸し出すという面白い試み。自分にとっては当然のことでも、普通の人は知らないことって、誰でもたくさんあると思うし。そうじゃなくても、ただ、人と話ができるって、良いことだなと思います。リアルな知り合いだと、なんでも遠慮なく聞くって難しいこともあるし。昔は、こういうのを寺や教会の聖職者が担っていたんだろうけど(懺悔とか告白とかね)。
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
『共感SNS』 ゆうこす著
 
元HKT48で、SNSでの活動でファンが広がり、モテクリエイターとして活動しているゆうこすさんの本。今の時代の一つの成功例として、こういうルートがあるのか、と面白く読みました。とにかく動けば何とかなる、というメッセージがいいね。目先の利益に捉われず、ファンと、そして信用を大切にするというのも、SNSの上に成り立つ活動としては必須だなと感じました。キンドルなのであげられません。最近旅行してたから、読んだ本は全部キンドルなんだよね。
 
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