和噺

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山林売買の噺

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        和噺   
                         R1/08/29
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僕は山を10ヘクタールぐらい持っているんですが、今日は「どうやって山を買うのか」を書きますね。
 
日本の土地は、いろいろな種目があって、中には自由に売買できないものもあります。例えば、農地。農地は農家しか買えないんです。じゃあ、どうやって農家になるかっていうと、これは自治体によって違うんですが、例えば3反(たん)=30アールの土地を所有していれば農家になる、という規定がある。
 
だから、30アール以上をまとめて買えば、その瞬間に農家になるから、農地が買えるっていうわけです。なんかよく分からない理屈ですが、そうなんです。だから、小さな土地だけを買って農家になる、っていうのは出来ない。必ず、最低面積以上を買わないといけない、という縛りがあります。
 
で。山の地目っていうのは、大体が「山林」です。これは誰でも自由に売買できます。東京に住んでいようが、サラリーマンだろうが、日本全国どこの山林でも買うことが出来るんです。で、どうやって買うか。
 
そもそも山林が土地流通に乗ることは少ないです。不動産のサイトとか、特に田舎暮らしに特化したような不動産屋のサイトなんかだと、山林を扱っていることもあるでしょうけれども、基本的にこれは高いです。あと、買える山林の1%以下ぐらいじゃないですか、表に出ているのは。僕がオススメする方法は、直接、地主さんに交渉して「売ってください」って言うことです。
 
あ、話を戻しますが、表に出てくる情報として面白いのは、裁判所の競売物件ですね。これに山林が出ることもあります。競売物件は普通、割安なんだけど、山林って価格があって無いようなものだから、競売の方が高くなる場合もあります。裁判所が適当に坪100円ぐらいで計算していても、直接地主さんに言えば坪50円で買えるとか、ね。そんなレベルの価格の世界です。何千万とか全然必要ありません。
 
で。地主さんに直接、売ってくださいと言うにしても、どうやって地主さんを割り出すか。日本全国、どこの家にも「住所」があるように、山林にも住所があります。田舎の緑の山々にも、全部、住所があるんですね。住所っていうか、地番です。まずは、この地番を割り出します。
 
適当に、いい感じの山を見つけたとしましょう。そしたら、その山がある市町村の役場に行ってみましょう。もし、その山がすでに国土調査を終えているのならば、デジタル化された国土調査マップがあります。グーグルマップとかに、買いたい山をピンしておいて、役場の国土調査マップと照らし合わしましょう。で、そこの地番が入った地図をプリントアウトしてもらいます。そしたら、山の地番が分かります。
 
もし国土調査を行なっていなかったら、税務課に行きます。税金は必ず取っていますから、絶対に記録があります。場合によっては、江戸時代に書かれたような地図が出てくる場合もありますが、それでも一応の地番が分かります。税務課が持っている地番図を閲覧して、山の地番ゲットです。
 
そしたら、法務局に行きます。その地番の登記簿を閲覧します。わざわざ法務局に行かなくても、その辺の司法書士事務所で500円を払えば、閲覧することもできます。そしたら、その山の所有者が分かります。抵当権がどうなっているか、っていうのも分かります。あとは、その所有者に手紙を書くとか、直接会いに行くとか、んで「売ってください」と交渉します。
 
だけど、放置されているような田舎の山の場合、所有者がすでに亡くなっていることも多いです。相続していないんですね。この場合は、死人から買うことは出来ませんから、売主に相続してもらってから買う、という手間がかかります。あと、相続されていても、本人は都会に出ていて「ああ、なんか山があるって聞いたことはあるけど、どこにあるか知らないよ」みたいな人も多いです。ともかく、放置されている山なら、所有していることすら知らない人が多い、ってことです。
 
で。お金の話。田舎の山は、いくらぐらいで買えるのか。僕の感覚では、全く無価値の山ーー例えば、放置されている人工林とか、雑木林とか、そういうのは1ヘクタールで最低10万円、最高100万円ぐらい。まあ、そもそも経済的な価値がゼロですから、あとは気持ちの問題です。10万円というのも、礼儀かな、というぐらいのレベルの価格です。
 
ちなみに1ヘクタールは3000坪です。10万円とすると、坪30円ぐらいですかね。ま、そんなものです。1ヘクタールは1町(ちょう)とも言います。普通は、町を使うことが多いですね。「うちの山は10町歩(ちょうぶ)あるよ」みたいな言い方をします。
 
この価格というのは、地主さんの手元に残る価格として、このくらい、ということです。それ以外に何がかかるかっていうと、司法書士さんに払う登記の手数料とか、税金とか、そういうものです。この辺の手数料は、売主持ちにするか、買主持ちにするか、折半にするか、いろいろありますが、僕は買主側から買いたいと言い始めたケースなら、買主負担が丸く収まると思いますよ。地番の数(筆数という)が少なければ、せいぜい数万円ぐらいのものです。
 
まあぶっちゃけ、数十万円あれば広大な山が買えます。小さなユンボをレンタルしてきて、チェーンソーとユンボを駆使して道と平地を作って、山小屋とか建てたら面白いんじゃないですか。たしか、10平米以下なら建築許可もいらないはず。寝泊まりするにも十分な小屋ぐらい建てられますよ。電気もソーラーパネルで何とかなるしね。山に沢があったら、水もそこから引けばいいし。面白い趣味ですよ。月の土地を買うぐらいなら、田舎の山を買ったほうが楽しいです。
 
あと、売買のために有力情報をゲットできるのは、森林組合ね。ここに「山、買いたいんですけど、誰か売ってくれる人いませんか? 最近、皆伐(かいばつ)した人とか知りません?」とか聞いてみたら、もしかしたら教えてくれるかもしれない。皆伐(かいばつ)っていうのは、杉とかヒノキを全部伐採して、裸の山にしたってことです。林業的には価値ゼロになったところなので、安く売ってくれる確率が高い。木、生えていないけどね。
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
富士山頂付近にロープ設置 落石事故で対策
 
落石が胸に当たって亡くなるという事故が起きました。基本的に、自然って危険なんですよ。嫌なものなんですよ。それを忘れちゃいけない。「自然を満喫!」とか、それは心地よい自然だけをチョイスしたものであって、自然は本来、危ないものなんです。レベルは違いますが、九州の雨だって「自然」ですからね。
 
危ない自然から人間を守ろう、守ろう、そうして出来たものが都市です。だけど都市にいると自然の危うさを忘れちゃうから、自然は良いものとだけ思ってしまうのです。田舎にいると、自然が嫌いになります(笑)。
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
日本会議の正体』
 
安倍政権の閣僚のほとんどが会員であり、また国会議員の半分ぐらいが会員であるという「日本会議」という団体にスポットライトを当てた新書。本のスタンスは、憲法改正や、愛国教育を目指す日本会議に批判的な立場です。僕は日本会議ってのを全然知らなかったから、へー、こういう世界があるんだー、という面白さがありましたよ。「生長の家」っていう宗教団体が母体になって作られたけど、今は袂(たもと)を分かっているとか。
 
あと、神社本庁がすげーパワーを持っているという話とか、面白いですね。考えてみれば明治神宮とか、すごい団体だよね。だって神宮球場も持っているんだよ。新国立競技場はどうなんだろ。とにかく、何兆円レベルの資産があるんですよね、明治神宮。そして神社本庁。僕は地元の神社に毎年、氏子料として800円を払っているんだけど、そのうちの30円ぐらいは日本会議に流れているのかな、なんて思った。政治系に興味がある人に、おすすめの本です。例によってキンドルなのでプレゼントなしです。
 
──【質問コーナー】─────────
 
【Q】草刈りを夕方にするとのことですが、夕方って蚊に刺されたりしませんか? うちの近所では夕方やってる人をあまり、というか、全く見たことがありません。対策などあるのでしょうか?
 
【A】特に対策していないですけど、動いていると刺されないですよ。長袖長ズボン帽子は必須で、肌を露出されないようにはしていますけどね。林業用の蚊取り線香(赤いやつ)を腰につけることもありますが、これは蚊というより、ブヨとかアブよけです。蚊は遅いから、動いてたら振り切れます。蚊取は煙いから、人間にもダメージあるよ。虫除けスプレーは使ったことないです。別に嫌だとか、健康に悪いとか思っているわけじゃないけど。
 
 虫は、少し場所が違うと全然いなかったりしますからね。蚊対策は、とにかく水たまりをなくすことです。古タイヤとかね、あそこの水たまりから発生しますよ。
 
 あと夕方にやる理由は、朝からやると疲れちゃうから、最後の作業にしたいんですよね。ぐったりしますから。もちろん天気によって、午後から雨が降るとかだったら、じゃあ午前中にやっちゃうか、みたいなこともあります。僕にとって草刈りは、掃除と有酸素運動を兼ねている感じですね。意識的に、心拍数が上がる程度のペースでやることもあります。
 
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