和噺

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専業の噺

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        和噺   
                         R1/08/27
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いきなり本の紹介からしますが。
『月3万円ビジネス 100の実例』https://amzn.to/30LzvCR 
 
月30万円にはならないけど、月3万円ぐらいにはなるという、小さな商売。それをたくさん合わせることによって収入を得ようというコンセプトの本です。田舎暮らしでの百姓的な生き方を提案しています。
 
3万円の仕事っていうのは、例えば「井戸を掘る」とか「鳥の巣箱づくり」とか「ハーブで枕を作る」とか。3万円ものを作って、1ヶ月に1個売る、みたいなのでもいいし。参加費3000円のセミナーを月1回開催して、10人が参加すれば、3万円。田舎の小さな商圏では、一つのことで売り上げを伸ばすのは難しいだろうから、こういうニッチな生き方を集めるのは、とても面白いと思いました。
 
なんか僕が読んだ本は第2作目みたいで、こちらが第1作目の本。
『月3万円ビジネス』 https://amzn.to/2ZthJ9H
こちらと併せて読んだらいいと思いますよ(僕は読んでないけど)。
 
で。今日、話したいのは「専業」について。
 
現代社会の普通の働き方って、何か一つの仕事をずっとすることなんですよ。そして、それこそが良しとされる価値観もある。まぁ、今でこそキャリアアップだとかいって会社を変わるのも当たり前になりつつありますが、それでも「仕事」は変わらなかったりするわけですよ。
 
営業の人がキャリアアップして、他の会社で営業をする。開発の人は、その専門分野のものを開発する。会社は変われど、仕事は変わらないことが多い。逆に、コロコロと仕事を変えるのは、キャリアアップにはなりませんよね。また0からのスタートとなってしまいます。
 
日本の価値観では、昔から職人が尊ばれます。その道、一筋ってやつです。専門家とかね。それが現代日本の価値観にも引き継がれています。何か一つのことを突き詰めることが、良しとされます。
 
なぜそうなったか。人間の集団としては、その方が効率が良いからです。アダムスミスも「専業ってすげー」って話を『国富論』でしています。ヘアピンを作る人がいたとして、自分一人で作っていたら、切って曲げてなんとかして、1日で100個つくるのが限界。だけどこれを10人でやったら、ずっと切るやつとか、ずっと曲げるやつとか、ずっと梱包するやつとかに分かれて、効率が良くなるから10000個つくれる。1人あたり1000個で、効率が超絶UPしたよ!国が豊かに!国富論!って話。
 
「分業」とも言われますけどね。集団視点では「分業」、個人視点では「専業」で、同じ意味でしょう。つまり、自給自足は効率が悪いってことなんですよ。自分で食料も作り、衣類も作り、家も建てて、というのはすごく効率が悪い。自分は得意なことだけをして、それをお金に変えて、他の人(家を建てる専門家とか)に任せた方がいいよ、ってことなんです。
 
確かに、それはそうなんです。分業や専業の方が、労働効率は良いのです。問題は、そういう働き方が(大抵の人にとって)楽しくないってことです。
 
アダムスミスのヘアピンの話も、そりゃその方が効率が良いですよ。でも「ずっとペアピンを曲げる仕事」って楽しくないでしょ。まだ一人で、切って、曲げて、伸ばして、梱包して、みたいに全部やっていた方が楽しいでしょ。効率は悪くとも、その方が幸せなんですよ。
 
自給自足をしたい!っていう自給自足欲が発生するのも、日々の仕事があまりに「専業」になっているからじゃないでしょうか。社会の規模が大きくなるほど、「専業」の専業度が増します。1万人で構成される社会だったら、ヘアピン生産に携わるのが10人であって、ヘアピン生産工程を10分割できるわけです。だけど100万人で構成される社会なら、ヘアピン生産に携わる人が100倍の1000人になる。生産工程を1000分割できる。
 
より細かい専業が可能になるわけですね。10人規模だったら、ヘアピンを箱に入れて並べて出荷してという作業を1人でやっていたのが、1000人規模になったら、ヘアピンを並べるだけの仕事が発生する。なんか今更だけど、アダムスミスにつられて「ヘアピン」の例えを出したけど、全然ピンと来ないな、ヘアピンって。使わないし。何だよヘアピン工場って。昔のイギリスにはそんなのがあったのかよ。自動車工場とかにすればよかったよ。
 
と思ったけど、書き直すのって面倒くさいんですよね。基本、このメルマガって書き直し無しでお送りしていますから。そんな後悔もひっくるめて先に進みましょう。ともかく、現代社会は国境をも超えて専業化が進んでいるんですよ。ダイソーの商品を中国でガンガン作るわけじゃないですか。世界規模の社会になっているから、それだけ専業も進む。グローバル化は専業化を進めます。
 
その方が、社会としての効率が良い。経済が発展する。だけど、働いている人はツマラナイ。幸せじゃなくなる。それが問題です。
 
単純に、いろんなことをするのって楽しいんですよ。仕事もする、家事もする、家も建てる、畑仕事もする。楽しいですよね。効率が悪いかもしれないけど、効率って何のための効率なんでしょうか。幸せに生きるためにこそ経済発展が必要で、効率化が必要なんじゃないの? その手段が目的になっちゃダメでしょ、と思う。
 
人間集団としての効率の良さ(経済的な強さ)を求めると、個人の人間は不幸になってしまう。この矛盾、ズレというのは、毎度の僕の論調ですが、人間が本能的に規定している集団人数が150人ぐらい、ということに発生します。人間は、そのぐらいの大きさの集団で生きるように出来ている。つまり、仕事も、そのぐらいの集団の中での分業に、最も適しているのです。同じ意味で、完璧な自給自足生活というのも、また人間には向いていない(人間集団が小さすぎる)。
 
150人ぐらいの集団だと、一人の人間がいろいろなことをしなきゃいけない。多様な仕事をするから好奇心も適度に満たされる。そういう生き方に出来るだけ近い生き方をした方が、人間は幸福感を感じやすい、と思います。
 
で、冒頭で紹介した『月3万円ビジネス』ですが、一つの仕事で30万円を稼ぐよりも、10個の仕事で30万円を稼ぐ方が、楽しいはず。現実的なことを言えば、リスクヘッジにもなるとかもあるんですが、何より「楽しい」が重要かなと思います。何のために生きるかって言ったら、出来るだけ楽しく幸せに生きるためじゃないですかね。
 
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