和噺

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レジの噺

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        和噺   
                         R1/08/21
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スターバックスの店員が耳の不自由な人で、カウンターに「ただ今、耳の不自由なバリスタがレジを担当しております。指差しや筆談等によるご注文をお願いします」って張り紙がしてあって、それを「なんかいい世の中になってきたね」とツイートしたところバズった、というネット記事を読みました。
 
障害者がレジをするってことで言えば、僕も体験がありまして。アメリカのウォルマートでの話。買い物してレジに並んだら、そのレジの人が明らかに知的障害のある人だったんですよ。
 
レジは10箇所ぐらいあって、何気なく並んだんですけどね。なんつーか、まず見た目がおかしい。40歳ぐらいの女性だったんですけど、体(胴体)が大きくて、腕が細くて長い。ずっと何かをブツブツ言っている。髪が長くてボサボサ。指がひっきりなしに動いている。っていうか、全体的な見た目で分かるじゃないですか、あれ、普通じゃないぞ、この人、って。
 
まあ、でもウォルマートで雇われてレジをしているわけだし、別にいいかと思ってそのまま会計に進んだんですけどね。僕が買ったものの中に、バナナがあったんですよ。かなり大きなバナナの房。日本のバナナの房って4、5本がまとまっていますけど、多分その3倍ぐらいの大きさ、十数本がまとまったバナナの房があったんです。
 
そしたら、そのレジの女性がバナナをパッと見て「サーティーン バナナ(バナナが13本)」って言うんですよ。ニコニコ笑っているんですよ。何、この人、パッと見てバナナの本数がカウントできるタイプの人? サヴァン症候群でしたっけ、一度見た風景をバッチリ記憶できる人とか、いるらしいですよね。電話帳をバーっと見て、数字を記憶しちゃうとか。だって普通は、バナナをパッと見て分からないじゃないですか、何本あるかって。そういう特殊技能があるから、レジに向いているのか、と。
 
考えてみれば、レジの仕事なんて(と言ったら失礼ですけど、すいませんね)ちょっとした知的障害があっても出来るじゃないですか。ピッピッってやって、機械が勝手に計算してくれるんだし。多くの人目に触れるところだから、当然、お店としては印象の良い人の方が良いでしょう。でも、必須ではないんですよ。レジの人(健常者)だって、最大限の能力を発揮してレジをしているわけではないと思う。
 
日本では、多くの知的障害のある人が、働く場を与えられていないじゃないですか。働いていても、人目に触れない場所にいることも多い。もっと、社会に溶け込んで生きていくべき、その方が良い社会ですよね。スタバの耳の聞こえない店員さんも、ウォルマートのやべえ女も、みんな引っくるめてニコニコと働いて生きられる社会が良い社会。
 
スーパーのレジっていうのは、人目につくところだからこそ、効果が高いですよね。障害者雇用の最前線は、スーパーのレジになるべきだなと思いました。障害者雇用促進法っていっても、まだ生活圏の中で目にすることは少ないです。レジに知的障害の人がいたら、最初は違和感あるだろうけど、慣れますよ。むしろ、一つのことに集中するとか、数字に強いとかいう特殊能力を活かせる場所になるかもしれないし。
 
ちなみに、バナナは後で数えたら12本でした。グラム幾ら、という形だから別に価格が変わるわけじゃないんだけど。サヴァンぽいだけかい、と思いましたわ。
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
インドネシアのパプアで刑務所に放火、250人脱走
 
パプア島って、明らかにおかしな国境線ですもんね。ど真ん中の直線、アフリカ的な国境線の引かれ方。ものすごく多様な民族、言語があって、未開の民族も多くって、最後の秘境って感じのところですよね。パプア島に限って言えば、「国」という枠組みが意味を成していない、むしろ害悪になっていると思う。どうすりゃいいのかね。
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
『故人サイト』 古田雄介 著
 
事故とか、病気とか、自殺とかで亡くなっても、今の時代、その人のホームページやツイッターアカウントが残されていることがあります。そういう「故人」のサイトを紹介している本。人によっては悪趣味と捉えられないかもしれませんが、いつ、誰にでも、訪れる可能性のある、そして必ず訪れる「死」を身近に感じさせる本でした。
 
特に、闘病や自殺で、自分が死ぬことを分かりつつ世に残したメッセージを、書籍という形で、多くの人の目に触れさせることは、故人にとっても嬉しいのではないでしょうかね。
 
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