和噺

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外交の噺

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        和噺   
                         R1/08/17
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昨日の予告通り、外交の話です。まあ、昨日の話のように、日本の文化の根っこにあるのは、みんな一緒にコツコツ努力して最後は運を天に任せる、という行動様式。で、それは何故かと言えば、稲作ではそれが最適解だからです。
 
稲作文化では、変化に適応するというのは苦手なんですよね。稲も、天候も、そんなに変化しないから。そして、その変化はどうしようもないから。変化は対応するものではなくて、受け入れるもの。台風が来たり、地震が起きたりすることはあるけれども、その変化を食い止めるとか、何か対応しようってのは不可能なんですよね。だから粛々と受入れていくしかない。それが日本人、というか稲作民マインドです。毎度言うように、陸稲は除く。氾濫原を利用した水稲も除く。
 
もちろん日本だって稲作以外の生業(なりわい)を行なっていた人は、いますよ。漁民や漁師は違う文化だろうし、職人も違うと思う。例えば坂本龍馬は商人ですよね。変化を得意とし、他人とのコミュニケーションも得意とする商人ですから、いろいろな仕事が出来たのだと思います。田んぼから坂本龍馬は生まれないんです。
 
なんか、そういうことを書き連ねていると、田んぼ下げの価値観になっちゃうけど、毎度言うように、絶対的な価値観なんて無いですから。ただ、現代社会の変化が激しく、そこに適応するためには稲作マインドでは効率が悪くなってしまうというだけのことで、良い悪いの話ではない。時代と場所により価値観なんて変わります。日本的な稲作マインドは、現代社会においては不利である、というだけのことです。
 
で、その代表的なものが「外交」であると、僕は思っています。外交とは、国と国との付き合いですよね。これはもう、武力こそ使っていないけど、基本的に戦争なんですよ。そもそも現代社会の「国」の仕組みとか、外交のルールというのは、欧米のやり方ですから。長年、ヨーロッパで戦争をしてきた中で、出来上がってきたルールなわけです。百戦錬磨の戦闘民族の武力を使わない戦いが「外交」であるのです。
 
そこに参入せざるを得ない我らが日本。だって鎖国しちゃダメだよってペリーが言うから。鎖国してたらブッ殺すよってペリーが言うから。しょうがなく明治政府を作って、欧米の真似事をしながら、なんとか百数十年、頑張ってきたわけですよ。だけど、そもそも日本人のコミュニケーションってのは「話せば分かる」とか「不言実行」とか「背中で語る」とか、そういうやつですから。
 
なぜそういうコミュニケーション文化かというと、同一民族で、顔見知りだけの村社会であり、他民族との接触の歴史も少ないから、それで済んでいたんです。効率よりも信頼。ノウハウを教える前に、そいつの人間性を育てる。それが最適解なんです。日本人同士なら、言わずとも分かると思っている。西郷隆盛勝海舟の江戸無血開城とかね。話さないんですよ。二人で押し黙って、目と目で通じ合う、みたいな世界観なんですよ。まあ、勝海舟は都会の人だから多弁だと思いますが。
 
話は逸れるけど、西郷隆盛ってのは「ザ・日本人」です。だから、欧米化しなきゃいけなかった明治には、いてはダメな人だったんですよ。で、日本人的な美徳を背負って死んでいった、という人生です。かっこいいね。ドラマ化したら?(したよ)。
 
で、目と目で通じ合う♪そういう仲になりたいわ♪、なんですけど、全くの他民族、異文化との付き合いでは、目と目で通じ合わないし、話し合っても分かりません。そういう人間(民族・国)との付き合いが、外交なんですよ。だから、ルールを設定したり、交渉が必要になる。
 
また「ちなみに」をぶっこむけど、外国との条約とかって、日本国憲法よりも「強い」ですから。憲法違反でも問題ないんですよ。だって、日本以外の国との取り決めですから。憲法なんて、所詮、国内オンリーの決まり事ですから。だから外交って、ちょっとレベルの違う仕事なんですよ。
 
まず、外交に日本人マインドを持ち込んではいけない。「話せば分かる」とかが通じるところではない。と、僕は思うんですけれども、外務省も日本人だし、内閣も日本人だから、その根っこには「話せば分かる」があると思います。相手を裏切ってやろうとか、自分が有利になるよう立ち振る舞うとか、そういうことは日本の価値観では「悪」になります。だから、普通はやれない。でも、欧米文化を基本とした外交の世界では、そうやらなきゃいけない。この矛盾がデカイ。
 
外交以外の内政ならば、日本国内のことだから、日本的な価値観でいいんですよ。唯一、外交だけは、やっぱりあちらの土俵で戦わなきゃいけない。ルールが全く違うんです。相撲取りがレスリングやっているみたいな感じです(例えが変だな)。だけど、あちらの土俵で、あちらのルールで戦うことは、日本人の価値観では「悪」となる。レスリングで足取りしているのを、日本代表の相撲取りが「卑怯なり」って言うような感じ。
 
じゃあ、どうすればいいか。一つは、日本国の運営を任せられるようなエリート教育。ただ、この場合のエリートというのは、欧米的な価値観を持ったエリート教育です。だから、日本人的には「すげー嫌なやつ」になります。エリート教育ってのは、そういうことです。日本人の価値観の外にいなきゃいけないんです。で、彼らが外国からの「防波堤」となって、他の日本人を守り、他の人たちは「話せば分かる」でぬくぬくと生きられるようにする。
 
エリートっていうと「東大」とか思うかもしれませんが、あれは超日本的な、稲作民的な文化ですから。外務省以外の内政ならいいだろうけど、外交はダメ。陸軍中野学校みたいな、特殊なエリート養成機関じゃないといけない。優秀な愛国心ある子供を集めてきて、外交部を作る。
 
ただ、これってすごく反感を買いそうですからね。もっと手っ取り早いのは、外人助っ人方式。外人をスカウトして、日本政府の外交担当として活動してもらうんですよ。カルロスゴーン方式。政争に負けちゃった有能な外人で、本国にいても日の目を見れないし、一族も危ない、みたいなやつを、一族全て面倒見てやるから日本のために力を貸してくれい、といって囲い込む。日本人にしちゃう。で、外交をしてもらう。年俸10億ぐらいで来るんじゃないですか。
 
それが一番、日本が繁栄する道だと思うんだけど、でもそれ以前にカルロスゴーンだって追い出しちゃう国だからね。切羽詰まらない限り、変わろうとしない。基本的に、攻めの姿勢が無い。これも稲作文化として考えると当たり前で、稲作に攻めはありませんから。攻めの稲作とか、あり得ない。守りだけ。で、ほとぼりが冷めたら、空気の読めないやつ(ゴーン)は村八分ですわ。そもそもニッサンは会社名が「日本産業」ですからね。「トヨタ」「ホンダ」といった個人名を冠した企業の方が、まだ欧米文化に近い、ってことでしょうか。
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
常磐道のあおり運転に警察当局が厳しい姿勢「あらゆる法令を駆使」
 
例のぶん殴ってくるドライバーの話。注目すべきは、警察が「あらゆる法令を駆使」とか言っちゃうとこね。これも前にメルマガで書いたけど、日本って、法律とかどうでもいいんですよ。「世間の常識」に従っているかどうかの方が重要なんですよ。法治国家ではなく、人治国家なんです。この場合の人とは、大衆です。衆治国家、と言ってもいいね。みんなの敵は村八分、ぶっ殺してしまえ、という価値観です。
 
僕は、現代社会は嫌でも他の国と付き合わなくちゃいけないんだから、みんな嫌だろうけど「法治国家」にしなきゃいけないと思いますよ。だから、あおり運転のどーのこーのが法律で厳罰にできなければ、法律を変えなきゃいけない。現行法で罰するのに無理があるなら、それはしょうがない。このケースだけ「あらゆる法令を駆使」するのなら、それは平等に皆に適応されなきゃいけないし、他の人も逮捕されなきゃいけない。そう思います。
 
こういうことをしたいのなら、やっぱり文化的には鎖国すべき。そのためには、外交を強力にして、日本は独自の道を歩まなきゃいけない。「日本国内では、法律よりも、大衆のフィーリングを優先しますので、みんなに嫌われる行為をしたら逮捕します」みたいな、ね。なんかそう書くと、僕がこのドライバーを擁護しているみたいになっちゃうけど、こういう人は死ね、という価値観は僕も持っていますよ。だって日本人だから♪( ´∀`)
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
雷桜』 宇江佐真理 著
 
有料メルマガの「きっこのメルマガ」さんで紹介されてて、面白そうだなと思って読んでみました。時代小説。久々に小説を読んだ(読み切った)なぁ。結構、積極的に最後まで読み切りたいと思うほど、面白かったです。ただ読み終わってみると、色々と、あれ、あそこはどうなの?みたいな疑問点も湧いてくるし、物語全体を通してのバランスの悪さみたいなのも気になった。
 
以下は、ちょっとネタバレ含む読後の感想。読んでない人には全くわからないことを言いますが。遊の育ての父の、なんか存在の中途半端さが気になる。全体の構成は榎戸の回想サンドイッチだけど、もうちょっと中身の回想部分での榎戸の存在感があっても良いのでは。清水なりみちが主人公なら、それならそうと、もっと最初から分かりやすく提示してくれないと。なんか、あれ、いつの間にかこいつの話?みたいに思った。あと、最後に原っぱは二箇所ありましたー、はどうなの?ちょっと酷くね。
 
とか、文句や疑問点は色々あるんだけど、面白かったですよ(本当)。だいたい、僕は小説がそこまで好きではないですから。というのは、面白い小説がそんなに無いから。そういう中で、僕が最後まで積極的に読みきったということは、かなり面白いっていうことだと思います。映画化されているんだね。ふーん。また明日。
 
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