和噺

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ITの噺

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        和噺   
                         R1/08/13
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ITについて。先に結論を言っちゃえば、ITは人間を孤独にすると思います。使いこなせば使いこなすほどに。なぜなら、ITはどこまでも「個人アカウント」と紐づけられているから。あなたのアマゾンアカウント。あなたのフェイスブック。あなたのアップルID。あなたのGメール。パスワードは、あなただけが知っているもの。スマホの中には、あなただけが知っていることがある。それは他人と共有しないでしょう。
 
ITが生活に入り込む前に、「自分だけのもの」がどれくらいあったでしょうか。ほとんど無いと思いますよ。時代をさかのぼれば、さかのぼるほど、個人のものは少なくなっていく。毎度の例に出す原始社会では、個人のものなんてほとんど無かったのです。私有財産も無かった。それが良い悪いは別として、人間はいまだに、そういう環境に適応していると僕は思っています。
 
時が流れて、農業の発明により私有財産ができて、一族が栄える。ここでもまだ「個人」は強くなかったはず。一族の中にいる僕であり、あなたであった。先祖から連なる、そして子孫へと連なる縦糸の中に、親戚縁者の横糸の中に、僕がいるわけです。人間は孤独ではなかった。
 
今、ITの発達により人々は無意識に、膨大な秘密を抱えているんですよ。誰とも共有できない情報がある。この孤独感。ストレスだと思いますよ。辛いことだと思います。じゃあどうしたらいい、っていう代替案なんて無いんですけれどもね。SNSでいくら多くの人と繋がろうが、その中心にいる人は、常に一人なんですよ。その孤独感をどうにか消化した人、乗り越えた人だけが、自立した大人として、現代社会への参戦を許されます。
 
土台に「孤立した個人」があるんだから、そりゃ結婚とか育児も無理になるよね、と思います。人間関係が築けなくなる。大人になってからITに触れた世代は、まだいいんですよ。リアルな人間関係という土台があった上での、フェイスブックとかでの付き合いができますから。でもスマホネイティブな世代はどうなんでしょうね。大変だろうと思う。
 
ま、毎度言うように、人間は集団の動物なんですよ。集団でいてこそ、幸せを感じられる動物なんです。ウサギも人間も、寂しいと死んじゃうんです。孤独は不幸です。それは、殴られたら痛いとか、お腹が空いたら辛いとか、それらと同じレベルでの生理的な反応です。
 
ITの発達によって産業が効率化し、製品が低価格になり、便利なことも増えたけれども、集団に属する幸福感ってのはどう解消すべきでしょうね。この「集団」っていうのは、本当に一心同体の集団なんですよ。フェイスブックのグループとか、オンラインサロンとかいうレベルじゃないんですよ。集団に属することで、個が消える幸せというのが、あるんです。(宗教にハマる人は、よく分かるんじゃないでしょうか)
 
個という概念は本来、なかったんです。個が誕生したことにより、死の恐怖も生まれたんです。自我が集団に属していたら、個が消える死は本来、怖くなかったはずなんです。少なくとも現代ほどには怖くなかったはず。
 
ITの個人化の先にあるのは、個が消える「死」をどう捉えるかって問題です。自我(アイデンティティ)が孤独ならば、死は文字通り、無に帰ること。それは怖いよね。僕は、今からでも家族とか集団を根っこから作り上げる作業が必要になると思います。それが人間が幸福に生きられる道ですわ。
 
なんかねー。現代日本の最適解は、学校だと思います。学校を作りたいんですよ。保育園から高校まで、ずっとクラス替えもない、年齢もバラバラの集団でOK、その子供達が一緒に大きくなっていける学校。担任の先生も十数年ずっと変わらない。そうしたら、一生、信頼できる人が何人も出来るんですよ。すごいことでしょう。家庭とは別の、そういう人間関係を作れる学校を作りたいね。また明日。チャオ!
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
米海軍が駆逐艦からタッチパネルを撤廃、旧来のスロットル操縦に戻す
 
スマホでうっかり、かけるつもりのない電話をかけちゃうもんね。タッチパネルは操作ミスが起こりやすいです。ガラケーで、うっかり電話かけたことは無かったもん。
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
『唯幻論大全』 岸田秀
 
『ものぐさ精神分析』の岸田先生の著作。毎度お馴染みの主張ですが、やっぱりこの人の話は正しいなと思う。あと、いつまでお母さんに対する愚痴を言うねん、と思うけど、それがこの人のやりたいことだから、しょうがないよね、とも思う。僕の考えは、この人から一番影響を受けたと思いますね。キンドルで読んだのでプレゼントは無しの助です。
 
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