和噺

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鍵の噺

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        和噺   
                         R1/08/11
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田舎の家は鍵をかけない、みたいな話がありますよね。実はうちも、よほどのこと(長期間、留守にするとか)がないと、鍵をかけません。不用心じゃないかと思われるでしょうが、いろいろと考えた結果、そのほうが良いだろうと思ってやっているんです。
 
まず、我が家の場合は、超孤立した山奥にあります。叫ぼうが何をしようが、誰にも聞こえないぐらいの山奥です。そして、道路はうちで行き止まりなのです。
 
鍵をかけない理由の一つは、鍵をかけたところで、窓を割って入れば簡単に侵入できるからです。壁をハンマーでぶち破っても、誰にも何も聞こえない。誰も見ていない。もし、すげー悪い人が来た場合、窓を割られる分だけ損じゃないですか。普通にドアから入ってもらった方がいいじゃないですか。
 
ただ、メインの玄関だけは、不在の時はちょこちょこ掛けるように心がけています。これは用心からの意味ではなく、知った人が訪ねてきた場合の「いませんよ」のサインです。訪ねてきて、呼びかけても答えがなくて、ガラッとドアを開けたら空いちゃった。田舎の人なら何とも思わないだろうけど、都会(マインド)の人なら、逆に嫌な気持ちがするんじゃなかろうか、という気遣いからのロックです。
 
入ろうと思えば、他のドアからでも、窓からでも、入れますからね。施錠していないですからね。網戸だけだったりしますからね、この季節は締め切っていると暑くなるし。まあ、そういう理由でメインドアは鍵をかけることもありますが、基本的に、鍵はかけない。
 
それは、絶対に泥棒が来ないだろうという確信があるからこそ、こういうことができるのです。先ほど言ったように、うちは一本道の行き止まりにあります。そもそも、うちに至る集落自体が、その先が行き止まりの一本道。つまり、町→集落→再奥の我が家、に至るまで、8キロぐらいにわたって、最終的に行き止まりの一本道なのです。
 
これがどういう意味かというと、知らない人が来たら確実に分かる、ということです。もし、これが「小さな集落」とはいえ、どこかからどこかへと至る通り道にあるのならば、不特定多数の人が通っておかしくない地理条件ですから、不審者がいても分かりにくいんですよ。だけどうちの集落は、うちの集落に用事がある人以外は絶対に来ないですから。迷って入ってきた、みたいな道でもないんですよ。
 
空き巣をする悪い人の心理になってみれば、一番、行きたくないところですよね。車のナンバーとか車種とか、絶対に覚えられますもん。僕も、知らない車がいたら、自然と記憶に残っちゃいますね。それは田舎の人間の警戒心ということじゃなくて、単に珍しいから覚えちゃうんですよ、うちの近くで知らない車を見たら。もし東京でペンギンが歩いていたら、記憶に残るでしょう。だって珍しいから。それと同じです。
 
よくニュースで「不審な車を見かけた」とか言っていて、子供の頃はその意味が分からなかったんですよ。僕は東京モンですから。そりゃ、ボディからトゲが生えていたりとか、水玉模様で甘い匂いがするとかだったら、「不審な車」ですけど、そうじゃないでしょう。でも田舎で暮らして「不審な車」の意味が分かりましたよ。普通に「何をしに来ているんだろう」と思いますからね。
 
僕は結構、うちの近くに車が来ていたら、話しかけちゃいますけどね。だって怪しいから。普通に「どうしたんですかー」とか問いかけますね。半分以上は、ただ単に道に迷って奥に奥に来てしまった人。ちゃんと「〇〇さんのハウスに行きたいけど、迷っちゃって」みたいに言われたら、ああ、あれはあっちをこう行って、みたいに説明します。
 
あとは、本当にうちの近所にくる理由があった人。高圧電線の点検作業をした人を迎えに来た車、というのが一番多いパターンです。あとは、保安林の点検作業をしに来た人とかね。山奥に住んで8年ぐらいになりますが、未だ、悪い人には出会ったことがありません。
 
話は飛ぶけど、アメリカでエアビーの民泊を使った時に、多くの家がカメラの遠隔操作による監視システムを取り入れていたんですよ。玄関とか裏口とかを映すカメラを設置して、それを警備会社が監視しているんですよ。これは日本の田舎のセキュリティにも使えるなと思いましたね。田舎だと、セコムを頼んでも来るまで何時間かかるやら、みたいな場所もありますし。鍵よりはネット接続された監視カメラの方が有効でしょうね。
 
ま、でも何よりのセキュリティは「行き止まりの集落」ですよ。これは最強。集落全体でゲートコミュニティみたいなものですから、心理的には。あと、田舎の集落をドライブしていたらジロジロ見られて、田舎者は気持ち悪い、みたいな感想を抱く人もいると思いますけど、そりゃ見るよ。珍しいから。あと話しかけるよ、迷っていたら可哀想だと思うから。
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
「横断歩道で止まらない車を、警察が摘発へ」
 
信号のない横断歩道に、待っている歩行者がいた場合、停車しますか?意外と少ないと思いますね。体感では、絶対に半分以下でしょうね。1割ぐらいじゃないでしょうか。
 
歩行者優先か否か、っていうのは欧米と日本ではかなり文化の差があって、欧米では歩行者優先が徹底されています。僕はアメリカでの運転経験しかないけど、信号のない横断歩道に歩行者がいたら、99%とまります。あと、ショッピングモールとかの駐車場で歩行者がいた場合も、車が絶対に止まります。
 
これは単に文化の差です。僕は歩行者がいたら、駐車場とかでも止まって譲るようにしているんですけど、歩行者の方が戸惑うことが多いですからね。特に高齢の方。僕が止まっても、「いいです、いいです、先に行ってください」みたいな感じのジェスチャーされることも多いですからね。だから、雰囲気を読んで、逆に止まらないこともあります。
 
ただ、交通ルールが「歩行者優先」となっているのなら、そうすべきであると思います。もしくは、交通ルールを変えるべき。これも「高速道路の制限速度は80キロ」
問題と同じなんですよ。実態(常識)と法律の乖離が酷い、という一例です。だけど、東京オリンピックで外国人がやってきて、彼らは歩行者優先文化だから、信号のない横断歩道でも「車が絶対に止まる」と思って、普通に歩き出すんですよ。すると、事故が起きやすいですからね。実態が変わるから、法を適応させようという順番なんです。
 
今は、外国人旅行者が多くても、そのほとんどは車を運転しないから大丈夫ですが、これがそのうち、日本でドライブをし始めたら、制限速度も変わりますよ。外国人が雨の日の一車線の高速で50キロで走り出して、日本人から文句が出ますから。法律を守ると文句が出る。面白いね。そういや、トラックとかの後ろに貼ってある「法定速度を守っています。お先にどうぞ」ってシール、あれは笑いましたわ。違法行為を奨励している、と思って。
 
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