和噺

まぐまぐで配信中のメルマガ「和噺」の過去ログです

育児の噺

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        和噺   
                         R1/08/05
───────────────────
 
昨日、ヤギ食べましたわー。まだ冷蔵庫にヤギ肉と、ヤギの血液入りソーセージとかが大量にありますわー。で、ヤギの話をしようかなと思って、その前にメールチェックしていたら、僕が読んでいるメルマガの『システマティックな「ま、いっか」家事術』さんで、「親ペナルティ」って話が出ていて、何だそりゃと思ってググったことから今日の話題をヤギから転換します。ヤギは明日ね。
 
で、親ペナルティって言葉があるんですって。『システマ』さんの言葉を借りれば、「子供を持つことによって幸福感が下がるっていう意味で「親ペナルティ」って言葉が広まっているけど、本来は「子供を持つことによって賃金が下がる」という意味の言葉。幸福感はむしろ上がるよ」っていう内容。ツイッターを見ていると子育ての愚痴が多いから、子供を持つことは不幸だと思われがちだけど、本来の言葉の意味を考えれば、それは関係ないよという話です。
 
僕はツイッター、やっていないんですけどね。やろうかな。世間の人との関わりがあまりに無いし。まあいいや。そのうちアカウント作ったら、メルマガで知らせます。
 
で、親ペナルティ。「賃金が下がる」という本来の意味から離れて使われているってことは、多くの人が新しい意味の「幸福感が下がる」を主観的に感じているってことだと思います。主観的だから、これは正しいも正しくないも、無い。感じているということ、それ自体は正しいとしか言いようが無いことなんですよ。
 
僕は、子育ては実際、大変だと思います。前にも書いたと思うけど、本来、人間の子育てって集団でやるレベルの仕事だと、僕は思っているんですよ。数十人とかレベルの大家族で、大勢の子供を育てるっていうのが、本能的に正しい(楽な)やり方だと思っています。その方が効率もいいんですよ。
 
子供は、いっぺんに大勢を見ても、そこまで労力は変わりません。1人を見るのと5人を見るのだったら、5人を見る方が5倍大変かというと、そうでもない。多分、1.3倍ぐらいです。子供同士で遊んだりもするし、手がかからない時間帯もあるわけですし。育児は、まとめた方が効率がいい。
 
ついでに言えば、育児と介護も相性がいいんですよ。実体験から言いますが、子供(2歳とか3歳)と老人って、いろいろ似ているんですよ。僕には認知症の祖母がいるんですが、この祖母と子供の相性がいい。子供って、もうね、何回も同じことを聞いてくるんですよ。アホみたいに。鼻を指して「これなーんだ」とか言ってきて「鼻!」って答えると「正解!」とか言って、それで「これなーんだ」とか言って鼻を指してくるんですよ。
 
あれ、時が巻き戻ってね?今の記憶は何?とか思うんですが、それでもう一回「鼻」って答えると「正解!」って言って、「これなーんだ」とか言って鼻を指してくるんですよ。無限ループ。5回ぐらいでこっちが飽きてきて「おはぎ」とかボケてみるんですけど、通じないんですよ。「ブブー」とか言って、「ちゃんと答えてください」とか怒るんですよ。
 
もう、バカですわ。知能が低いんですわ、2歳児。「これなんだ、鼻」を10分ぐらい、余裕でいけるんですわ。だけど、これに認知症の祖母は付き合えるんですよ。ボケてるから。短期記憶が、こちらもこちらでぶっ壊れているので、相性がよろしい。常に新鮮な気持ちで「これなーんだ、鼻」クイズに付き合えるんですよね。認知症の良い点です。
 
うちの祖母の場合は短期記憶がダメになっているだけで、日常生活はまともに出来ますので、ちょっとした子守なら僕よりも上手くこなせるんですよ。win-winっていうか、マイナスとマイナスを掛けたらプラスになるっていうか。大人と子供とか、大人と介護とかって、プラスとマイナスの掛け算なんですよ。だから大変。だけど、子供と子供、子供と老人(ボケてる人)は、掛けたらプラスになれる。その分、大人(プラス)も自由になれる。
 
こういうことが出来るのが集団の良いところであって、だからこそ人間は集団(数十人)で生きるのが一番楽であると僕は思っています。だけど現代社会は核家族が中心だから育児というのは、大人が一対一でやる場合が多い。これは、辛いんですよ。ほんと自由がなくなる。そりゃ「喜び」もあるでしょうけど、総じて「不自由」の方が勝るよね、と思います。24時間、プラスとマイナスの掛け算をしている状態ですから。
 
一応言っておきますが、プラスとかマイナスとかって書くと、プラスは良いこと、マイナスは悪いことって価値観が付いちゃいますが、「子供怒るな、我が来た道、年寄り怒るな、我が行く道」みたいな、お寺の標語によくある言葉に象徴されるように、何が良いも悪いもないんですよ。ただ、分かりやすいと思ってプラスマイナスと例えているだけです。また、現代社会は大人の価値観中心に作られているから、そちらをプラスと表現しているだけのことです。
 
えっと、親ペナルティの話ね。現代の仕事(キャリア)社会の価値観に照らし合わせれば、子供が足手まといなのは当たり前です。普通に、子供を持たない方が有利だよね。そして、仕事社会の価値による幸福感を持っている場合、親ペナルティによって幸福感が下がるのは当たり前です。「子供がいるから仕事ができない」は、全くその通りです。
 
問題はいろいろあるんだけど、思いつくままに言うと、まず、社会の中枢にいる人のほとんどが「子育て経験がない」という問題。子供がいても、子育て経験が無い人なんて山ほどいますからね。平日は寝顔を見て「子供に癒される、明日からの仕事の勇気が湧いている!」とかツイートして、週末に公園で遊んで、お風呂に入れて、とかは全然「子育て」じゃないからな、と僕は思います。
 
主観だけど、ほぼ外注(保育園とかベビーシッターとか配偶者とか)せずに、2年ぐらい子供を育てた人が、僕の思う「子育て経験あり」です。で、そんな人は社会の中枢に、いない。というか、中枢に行けない。で、子育て経験が無い人が、子育て支援とか、そういう制度を作っている。実態を感情として分かっていない。子育て支援の制度を作るなら、全員を、僕の言うレベルでの「子育て経験者」にしろよと思いますね。
 
問題その2。子育ては、子供によって個体差が激しいこと。楽な子供と、大変な子供の労力は、主観ですが10倍違います。主に0歳児ね。何にもしなくても寝る子供もいれば、何をしても寝ない子供もいるんですよ。そして、周りからいろんなことを言われるんですよ。育て方が悪い、抱っこグセがつく、母乳じゃないからだ、妊娠している時に運動しなかったからだ、ほっとけば寝る、赤ちゃんはみんな天使、いろいろな言葉があります。
 
だけど、ありゃ個体差です。育て方とかじゃなくて。だけどみんな、自分の子供のことしか知らないで主観で話すんです。ほっとけば寝る子供を3人育てたお母さんは「赤ちゃんなんて自然に寝るわよ、寝ないでギャンギャン泣いているなんて虐待でもしているんじゃないの?」と思います。で、そう言います。で、ギャン泣き赤ちゃんに当たったお母さんは、自分の育児が悪いんだろうと悩んでブルーになります。
 
この原因は何か。単純に、育児経験の少なさ、赤ん坊を見た数の少なさです。もし人間集団が大家族で、おばあちゃん世代だったら何十人という赤ちゃんを見てきた、という経験があれば、「子供が泣くのは個体差」というのも分かるし、また逆に「これは個体差ではなく、本当に虐待されて泣いている」みたいなのも、区別がつくはずなんです。
 
現代社会だったら保育士がそこを担っていると思うかもしれませんが、保育士はたくさんの子供を見ているだろうけど、それは昼間だけの話だし、また「仕事として見る」のと「親(家族)として見る」というのは、向こう(子供)もこっち(保育士・親)も感情が違いますから。それはそれで、ごく一部しか見ていないんです。
 
つまり、たとえ育児に関わっている人であっても、育児経験の少なさというのが問題です。だからみんな、主観的な論しか出ない。幸せな育児をした人は、育児は幸せだと言い、不幸な人はその逆の論となる。その意見は平行線、混じり合わない。どちらも真実ですから。
 
仏教の説話で、どっかの王様が盲目の人を何人か連れてきて、「ゾウ」を触らせる。一人にはゾウの足を触らせて、一人にはゾウの鼻を触らせて、一人にはゾウの尻尾を触らせて、それぞれに「ゾウはどんな動物だと思う?」って聞いたら、一人は「柱みたい」って言って、一人は「ホースみたい」って言って、一人は「ホウキみたい」って言って、王様は大笑い、みたいな話があるんですわ。
 
今ググったら、仏教っていうかインドの昔話みたいなやつですって。「群盲、象を評す」だって。良い話だよね。そういう感じですよ、育児の話も。
 
誰も全体像が見えていない。現代社会における、僕が思う「子育て経験あり」は、「一人の子供を2年ぐらい見た経験がある」ってことで、そういう人じゃないと現代社会での育児は語る資格がない、と思っているんですが、そういう「子育て経験あり」の人も、所詮は群盲の一人です。で、イクメンの大半は象に軽くタッチしたぐらいの盲人です。保育士は象の鼻ばかりを何匹も触っている盲人です。象をしっかり見ている人が、誰もいない。
 
何人もの子供を家族として見て、育てて、その中には自分の子もいれば、親戚の子もいれば、友達の子もいれば、近所の子もいれば、拾ってきた子もいるし、肌の色の違う子供もいる。そういう、いろいろな人間を育て上げた人が老境にやっと語れるのが、育児です。育児象です。そういう人がぼんやりと「象ってのは、足もあるし、鼻もあるし、尻尾もある、うんこする動物だよ。たぶん。」って語れるわけです。で、現代社会にはそんな人がいないんです。
 
まあ、僕も育児に関しては鼻と尻尾を触ったぐらいです(現代日本人の中ではトップクラスに触っていると思うけどね)。体が弱くて入院している子供を育てた経験は無いし、子供を亡くした経験も無い。手が付けられないほど乱暴な子供の経験も無いし、芦田愛菜ちゃんみたいな天才児と会ったことも無い。ほんと、ごくごく一部しか経験していないんです。
 
だけど、少なくとも「見えていない」ということは分かっているつもりなので、少しは偉そうに語ります。我々は皆、盲人だと。でも一方で、象の可愛いマツゲに触れた盲人が「象はすげー可愛い」って言って、他方で象のウンコを嗅いだ盲人が「象はすげー臭い」って、ツイートしまくっている。
 
そんな感じかな、現代社会の育児のこと。親ペナルティから随分、話が逸れていっちゃったけど、親ペナルティは僕は一つの真実だと思っています。というか、みんながそう感じているなら、それは真実なんですよ。ただ真実にもレベルがいろいろあって、親が現代社会の中で不利をこうむるってのは真実ですが、現代社会の理想的な育児っていうのも、それはそれで真実の一面でしかないってこと。
 
そもそも、現代社会が目指している「子育てしながらも働ける社会」とかは対症療法であって、理想的な育児ではない。現代社会っていうのを、否定できないものとして認めた上での解決策ですよね。何かを議論する場合は、この「どのレベルで語るのか」っていうのも重要で、育児も「子供の発達を第一として考える」のか、「現代社会の中で働き方との両立を考える」とか、もうそこで議論のレベルが違ってきちゃうんですよ。
 
親ペナルティってのは、現代社会の、大人の働き方とか生き方のレベルの話で「不幸感(ペナルティ)」を感じているわけです。一方、子供を育てる喜びがあるよっていうのは、それとは違うレベルでの幸福感ですよね。ラーメンを食べる幸せと、足を怪我した不幸感を比べているようなものです。足が痛くてラーメンは美味しい、ってのは成り立ちますよね。その人に「足が痛いだろうけど、ラーメン美味しくて良かったじゃん」といっても、足の痛みは消えないですよね。そんな感じ。
 
明日はヤギの話するね。暑いね。チャオ!
 
──【NEWS PICKUP】────────
 
「1日1個のリンゴ」の効果、微生物の研究で再確認
 
リンゴ1個に1億の微生物だって。種とかにもいるんだって。すごくね? うちも子供によくリンゴあげているんですが、最近、スーパーで売ってるニュージーランド産の小さいリンゴがお気に入り。外国のリンゴって小さいのが多くて好きなんですよ。日本のリンゴ、大きすぎ。
 
日本のリンゴって、ソフトボールぐらいあるでしょ。でも外国のリンゴって、ビリヤードの玉ぐらい。日本のリンゴ農家さんも、あの小さい品種に方向転換したら、かなり良いビジネスチャンスになるんじゃないかと思う。個人化が進みますからね。家族でリンゴむいて食べる時代じゃないですからね。皮ごと、丸かじりできるような小さいサイズの方が好まれますよ。
 
そしてもう一つ、本来はリンゴって小さいものですから、小さいものの方が丈夫で育てやすいはずなんですよ。果物でも野菜でも、小さものの方が育てやすいのが基本。大玉トマトよりミニトマトの方が、ずっと強くて育てやすい。多分リンゴもそうだと思う。うちもアルプス乙女っていう小さいリンゴの木を植えていますが、未だ成らず。あと2、3年かなと思っています。
 
──【BOOK REVIEW】────────
 
「ヨシアキは戦争で生まれて戦争で死んだ」
 
太平洋戦争の後、日本で大量に生まれた、米兵と日本人女性との間の私生児。「合いの子」と呼ばれた子たちは、日本の世間の視線にさらされ、国内で幸せに生きることが難しかった。で、そういう子供達を引き取った孤児院があって、海外に積極的に養子縁組をさせていたんです。アメリカの方が、まだ日本よりも幸せに生きられるだろう、ってことで、子供達がアメリカに渡っていった。
 
この本の「ヨシアキ君」も、そんな一人。日本人の母親はヨシアキ君を育てられず、孤児院に預け、そして孤児院にボランティアにきていた米兵の家庭に引き取られていきます。アメリカで、必死に英語を学び、なんとかアメリカ人として生きていこうとしたヨシアキ君。21歳の時、ベトナム戦争に出征し、そして命を落としてしまいます。
 
戦争に翻弄された短い人生。語弊があるけど、すごく面白い話でした。一人の、日本人にもアメリカ人にもなれなかった人の物語として、じっくり読んで欲しいです。ってことで読者プレゼント。このメルマガに「返信」で応募してください。1名様にプレゼントです。
 
──★バックナンバーはこちらから───
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━