和噺

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森の噺

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        和噺   
                         R1/08/03
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昨日、メルマガの最後でクラウドファンディングの紹介をしましたが、そこで、そういや森のことを一度きちんと説明しておくべきだなと思ったので、書きまぁす。(←これは小保方さんの物真似です)
 
森と一口に言いましても、色々な森がございます。大きく分ければ「人工林」と「天然林」です。いきなり話を逸らしますが、「林」と「森」の違いについて。これは、人間が植えた、もしくは利用しているのが「林」で、自然そのままで手付かずのものが「森」です。「生やしている」から「林」なんです。「森」は何でしょうね、植物が生えてもりっとしているから「もり」でしょうか。
 
ですから、人間が利用するものは「スギ林」や「ヒノキ林」や「雑木林」と言うわけです。で、手付かずのものが「鎮守の森」とか、「屋久島の森」とか。ですから「屋久島の原生林」という言葉は、本当はおかしいんですけれどもね。手付かずなら「森」です。
 
で、日本の森というか林を大きく二つに分けると「人工林」と「天然林」になります。人工林っていうのは、スギやヒノキを植えてあるところです。何のために植えてあるかっていうと、材木のためです。主に戦後、日本全部が焼け野原になった後、このままじゃ家を建てる材木が足りないよ!植えなきゃ!ってんで、国(林野庁)が音頭をとって全国の山に苗木を植えたのが始まりです。
 
それから数十年たって、木が大きくなりました。ところが、そろそろ切り頃となった時には、日本経済が高度経済成長していた。日本人を雇って木を切って、というプロセスにかかるお金が、とっても高くなった。ぶっちゃけ、外国から輸入した方が安くなった。インドネシアとかマレーシアとかカナダとか。日本の木は、切っても利益が出ないから、放っておかれた。
 
スギやヒノキの林というのは、放っておけば勝手に育つというものではないのです。まず、植えるときに密植といって、ぎゅうぎゅうに植える。混んでいるから、まっすぐ育つわけです。例えば、100本の木を育てたいときに、100本の苗を植えたら、最初はスカスカだから、あちこち自由に育っちゃって、曲がっちゃって、材木に適さないわけです。だから最初に500本ぐらい植えて、育ち具合に応じて適度に間引いていって、最後に100本にするわけです。
 
ところが外国の材木の方が安いってんで、間引き(間伐)をしても利益が出ないから、もう放っておくわけですよ。すると、スギやヒノキは密植されたまま、ヒョロヒョロと伸びていきます。で、密植されているから、葉が生い茂って日光が当たらない。すると下草が生えなくなる。地面は、スギとヒノキの落ち葉にだけ覆われていて、全く草が生えていない、真っ暗な状態になるわけです。
 
という状態の林が、日本全国にたくさんあるわけです。で、そのスギやヒノキが春になると花粉を飛散させて、国民病となっているわけです。まあ、このスギやヒノキが建材として必要であるなら、花粉症もしょうがないかという気持ちも無くはないですが、そもそも建材としても大半は必要ないのです。ただ花粉を撒き散らしている林になってしまっているのです。
 
さらに言えば、こういう「林」は自然破壊をしてもいる、と思っています。林が自然破壊、というとピンと来ないかもしれませんが、先ほど言ったように、放置されたスギやヒノキの人工林は日光が届かないので、スギやヒノキ以外の草木が全く生えていない。そうなると、草木を住処や食べ物とする動物や虫は、そこに住むことができません。林なのに、実際は砂漠のような生命の少なさなのです。
 
そしてもう一つ、深刻な被害をもたらしているのが、保水力の無さです。スギやヒノキというのは、根が浅いのです。そして下草が生えていないということは、土が無いということです。天然林であれば、日光が当たり下草が生え、落ち葉がつもり、土壌が形成されます。それが、保水力の違いを生み出します。
 
雨が降ると、雨は土に染み込みます。土はスポンジみたいなもので、水を吸収して溜めておけるんです。もし土がなければーー例えばコンクリートの地面に雨が降れば、雨はただただ流れます。最終的には、川に行きます。とすると、大雨が降ったときに、川の水かさが一気に増して、洪水が起こりやすくなります。
 
洪水が起こることの一因は、山の保水力の無さです。いくら大雨が降ったって、山がスポンジのように水を溜められるのなら、一気に川が溢れるということは少なくなります。だけど山がスギやヒノキの人工林ばかりになり、保水力が無ければ、大雨のときに洪水が起きやすくなるのです。ちなみに、スギやヒノキは、さっき言ったように根が浅いから、山崩れも起きやすくなります。
 
というように、そりゃ建材としてのスギやヒノキは必要だけど、少なくとも現在、採算が合わなかったりして放置されている人工林は、ガンガン伐採していって、自然林に戻すべきじゃないかと僕は思っています。その方が、花粉症は減るし、山の保水力が増して洪水が起こらなくなるし、多様な動植物が生きられる豊かな環境になるし、いいことづくめじゃなかろうかと思っています。
 
本当は国がこういう問題に真剣に取り組めばいいと思うんですけれども、やりませんね。原因は、邪推ですが、そもそも国策として林野庁が音頭をとって全国に植林したものだから、その政策を、つまり先輩方の政策を否定することになってしまう、誰もそのようなそんな役回りは引き受けたくないのではないかと思うのです。そして、国民の多くもこんな問題にピンと来ませんから、注目も集めにくいんじゃなかろうか。
 
スギやヒノキの人工林を見て「わあ、自然が豊か」とか、普通に言いますからね。田舎の人でも、そうですよ。人工林を指して「うちは自然がいっぱい」とか、普通に言いますからね。都会の人に限らず、田舎の人でも、そのくらいの認識は珍しくない、というか普通です。極端になると、スギやヒノキを間伐している風景を見て「自然破壊」とか言いますからね。逆ですわ。スギやヒノキの伐採は自然再生です。
 
これを国民的な運動にするためには、僕は「花粉症」を掲げるのがいいと思うんですけれどもね。新党、作ったらどうでしょうか。「スギ花粉症から国民を守る党」みたいな。通称「ス国党」。比例で勝負したら1議席ぐらい取れるんじゃないの。真面目な話、経済的な試算として、全国の放置されたスギやヒノキの人工林を伐採して天然林化するお値段と、花粉症による経済損失とか洪水による経済損失を天秤にかけたら、一気に予算を組んで天然林化した方が安いと思いますよ。
 
具体的には、単に伐採に対する補助金をつけることね。あと、法整備をして、持ち主の分からない人工林の国有林化とか、相続をしやすくするとか、森林の整備をしやすい環境を整えてあげること。そうすれば、10年ぐらいで花粉症を撲滅できると思いますけれどね。建材として必要な人工林は当然、残す。でも、現在の面積の半分もいらないと思いますよ。
 
ま、そんなのが「人工林」と「天然林」の違い。といっても文章じゃ伝えるのも限界があるし、百聞一見にしかずと言います。実際に見てみたら一目了然だから。ということで、天然林と人工林の違いを感じようツアーみたいなのがありましたら、夏休み、行ってみたらどうでしょうか。また明日。チャオ!
 
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『家族になった10頭のクマ』宮澤正義著
 
ツキノワグマを飼育した記録。今日のメルマガで書いたような森林の荒廃の、大きな影響を受けている動物が、ツキノワグマです。人を襲ったとか、怖いイメージがあるツキノワグマですが、実際はどんな動物かっていうのがよく分かります。クマのイメージが、かなり違ってくることでしょう。1名様に本をプレゼントします。メルマガに「返信」で応募してね。
 
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