和噺

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物々交換の噺

Kindle Unlimitedで読んだ「ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方」が面白かったので、ご紹介。
 
こちらは、著者の伊藤洋志さんのサイト。
 
どっかの会社に勤めたり、また独立するとしても何百万の借金を背負って起業するとかではなく、一ヶ月に3万円ぐらい稼げる「ナリワイ」をいくつか持っていて、生活と仕事のバランスをとって生きていこうよ、といった内容。
 
田舎暮らしの話になると、決まって「仕事がない」という心配があって、それに対する僕の答えは「田舎に実際に住めば、いろいろやれることはあるし、頼まれることもあるし、仕事は多すぎるぐらい来る」みたいに漠然と言っていたのですが、この本はそれにもっと明確に答えをくれた感じでした。田舎暮らしの「仕事」に心配のある人は、ぜひ読んでみることをお勧めします。
 
と、書評から始めてみましたが。仕事の話とか、お金の話になると、どうしても田舎は都会よりも年収が少ないし、それで生きていけるのか、みたいな話がついて回りますよね。だけど、まず年収イコール生活の質、ではない。収入が多くても支出も多ければ、生活の質は低くなる。そして田舎は、都会に比べたら、支出はすごく少ないです。
 
ガソリン代とか、スーパーの肉とか加工食品が高いとか、そういう細かいことはあるでしょうが、トータルで見れば支出は少ない。まずその筆頭に来るものは、家賃ね。
 
僕の実家は東京のど真ん中にあるんですが、近所の家賃とか、バカみたいに高いですよ。8畳のワンルームで9万円とか。9万!「きゅうまん」で変換したら「灸まん」が出てきたんですが、これは香川県の銘菓です。お灸の形をしたまんじゅうで、金毘羅さんの近くにお店があります。なぜか電柱の広告が多くって、善通寺あたりの電柱は「灸まん」だらけね。拉致られた時にハイエースの車窓からチラリと「灸まん」の電柱が見えたら、あ、善通寺の近くだな、と覚えておいてください。
 
で、ワンルームで9万ですよ。9万だと、うち(田舎)の近所じゃどのくらいの家が借りられるかというと、そもそも、そんなに高い家が無い。どんなに高くても4、5万どまり。4、5万円で普通の一軒家が借りられるんですよ。生活の質は上がって、支出は下がる。ガソリン代がいくらかかろうと、普通は家賃だけでお釣りが来るほどです。
 
あと大きな支出の減少が、服だと思いますね。まあ、僕はそもそもファッションとか全く興味がないので、東京にいる時から服にかけるお金はゼロに近かったんですが、普通は結構、かけているでしょう。一番の理由は「周りと合わせるため」だと思います。で、田舎に来ると、その「周り」がみんな、服にお金をかけていない。だから周りと合わせると、自分もお金をかけなくなる。(ファッションに興味が無い人は)心も楽になるし、お金も使わない。
 
そして、これはあまり語られないけれど、物々交換経済があること。何かをもらって、お返しをする。でかいものになると、大工仕事を1日、手伝ってもらったから、こちらも何かを労働で返すとか。そこに金銭のやり取りは無いから、これは経済活動にはならないんですよ。だけど、生活は豊かになっているんです。
 
例えば、2万円分の大工仕事を手伝ってもらって、そのお返しとして2万円分の草刈りをしたとしましょうか。もし、ここにお金のやり取りがあった場合、支出が2万円、収入が2万円、となるわけです。それだけならいいんですが、そこに税金がかかる。所得税とか消費税とか、お金を貰うのにも使うのにも、税金がかかる。10%としても、2万2000円を支払って、18000円の収入となる。行きと帰りで4000円の税金が取られてしまう。
 
税金を取られないのが、物々交換の強みです。2万円分の物々交換の場合、隠れた2万円の収入と支出があるわけです。4万円の経済活動。しかも非課税。こういうやり取りが、田舎は都会に比べて圧倒的に多い。だから、一概に年収が低いと生活レベルが低い、とはならないわけです。極端な話、全てを物々交換で行えたら、収入ゼロ支出ゼロで豊かに生きていくことも可能なわけです。で、収入ゼロだから税金もかからない。
 
そういう生き方は、一つの専業の仕事があるとか、どこかに雇われて働くというのではなく、いろいろな小さな仕事を行う百姓的な生き方です。求められることを行い、できることを行い、そしてできないことは人に手伝ってもらう、ゆるい生き方です。それが、冒頭で紹介した本の「ナリワイ」ってのに近い。こういう生き方が田舎的な生き方、働き方だよな、と思いました。
 
ってことで暑いから熱中症に気をつけてね。草刈りを昼にしたら死ぬよ。朝か夕方にしようね。ではまた明日。チャオ!