和噺

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縄文と弥生の噺

面白いニュースがあったので、ご紹介。

縄文時代の終わりに人口激減か 現代日本人の染色体から解析」
https://www.asahi.com/articles/ASM6F6DJVM6FULBJ00P.html

現代の日本人男性のY染色体(これは男性だけに引き継がれる)を調べたところ、3000年ぐらい前にがっつり減って2分の1から3分の1までに激減した。そして、その直後に10倍以上に増えていた、というニュースです。

で、この調査をした研究チームは、その激減&激増が起きた原因として「寒冷化により食料調達が難しくなって人口が減ったが、その後、大陸から稲作技術を持った集団がやってきて食糧事情が改善、人口が急増した」と考えています。

事実としては「3000年前に男性人口が半分になり、その後、10倍(の多様性)になった」ということがあり、そこから導かれるストーリーとしての「寒冷化と稲作伝来」という話ですね。

でも、これって普通に考えたら「大陸から渡来してきた民族が、日本列島にいた民族を殺戮して、入れ替わった」ってことですよね。

まず「寒冷化で人口激減」ってのが納得できない。日本列島にホモ・サピエンス(我々のことね)がやってきたのが、「ドラえもん のび太の日本誕生」によれば8万年前ですわ。まぁ一応それはジョークとしても、オーストラリアに人類が渡ったのが4万年前、アメリカ大陸に渡ったのが1万数千年前とすれば、日本は遅くても3、4万年前には人類が到達していたはずですわ。

3000年前に、確かに寒冷化はあったのだろうけれども、数万年のスパンで日本列島で狩猟採集を営んできた人類が、それほどのダメージを食らうか、そのレベルの寒冷化は何度もあったでしょう、というのが、まずツッコミどころね。

それともう一つ、この調査で調べているのが男系の「Y染色体」だってことです。母系の「ミトコンドリア遺伝子」がどうなっているのか、ぜひとも知りたい。もし男系の染色体の激減は起きていても、母系が起きていないのならば、それはおそらく、女性は奴隷(子を産む機械)として生存し、DNA的には生き残ってきた、ということです。人為的な殺戮があったと予想できます。

稲作が伝わってきて人口が急増したというのも、僕の考えるストーリーでは、稲作技術を持った渡来系の人が大挙してやってきた、というだけのことです。もともといた縄文人が稲作を覚えて食糧事情が改善して人口拡大、ってのは無理のあるストーリーでしょう。

まぁ、とはいえ。世に出ているストーリー、つまり「縄文人が寒冷化で困っているところに、稲作技術を持った渡来人がやってきて、仲良く混じり合って人口が拡大していきました」という話に需要があるのも分かりますよ。そのほうが、気持ちいい話ですから。やっぱり日本人は昔から仲良くしていたんだね、和をもって貴しとなす日本文化だね、的なストーリーですから。

誰も、自分のご先祖様が、大陸からやってきた殺戮集団だと思いたくないでしょう。天皇家ってのは大陸の政争に負けてやってきた集団で、日本列島で縄文人相手に無双した結果、ヤマト王権を築いたみたいな話、嫌でしょう。だから古墳もほじくり返さないんですよ。メイド・イン・チャイナ的なブツが出てきたら、いろんなストーリーがこじれますから。

しかし、そんな空気を読まずに事実を突きつける遺伝子検査ね。僕はこのニュースを見て「ああ、やっぱり縄文から弥生(稲作文化)への移り変わりで大規模な殺戮があったのだな」ってのと、「日本文化はそういうストーリーは受け入れがたいから寒冷化とか無理な話を言いだすんだな」ってことを思いましたわ。

歴史ってのは、斯様に「物語(ストーリー)」なんですよ。全ての歴史は物語である。historyもstoryも、もともとは同じ意味。歴史と物語は、区別されることはなかった。事実はあれど、事実を元にし、いかなる物語を作るかは、語り手の数だけ存在する。歴史の問題ってのは、まず歴史とは人間の作った物語であり、そこに絶対的な真実は存在しない、ってことを念頭に置かなければいけないと思うっす。チェケラ!(°▽°)