和噺

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水道の噺

皆さんの家には、水道がありますよねー。いいですねー。うち、無いんですわ。

水道があるってことは、自治体(東京都とか)の水道局が、多摩川とかから水を集めて、濾過して、消毒して、安全なキレイな水にして、ポンプで圧力をかけて、皆さんの家のすぐ目の前まで水道局の責任において配水してくれて、それを5リットル1円とかいう超低価格で買えるという神サービスの対象地域内だということです。で、うちは残念ながら対象地域外です。

田舎の水道事情といっても、大抵の場合は簡易水道ってのがあります。例えば、山の中に10世帯ぐらいの集落があるとしましょう。普通は、この10世帯のためだけの水道施設ってのがあります。自治体の補助金とかで設置して、管理運営は住民がやっている、みたいな感じ。我が家の近くの集落も、こんな感じの簡易水道を使っています。

で、そんな簡易水道も無い山奥に住む私。となると、自力で引くわけですわ、水を。どっちかというとサバイバルに近い感じですね。近くの沢から水を引いて、タンクに貯めて、ポンプで圧力をかけて使います。

順を追って説明しますが、沢の水がそこらへんにあるからといって、勝手に使っていいわけではありません。特に農業地域だったら、沢の水ってのは農業用水として使われている場合が多いですからね。自分の敷地を流れる沢とはいえ、上・下流で水を使っている方がいらっしゃるなら、話を通しておくのがスジってもんです。

僕が買った土地は、もともとは田んぼだったので、水利権というのがついていました。この田んぼは、ここの沢(もしくは水路)の水を使って良い、という権利のこと。その集落で代々、受け継がれている決まりです。慣行水利権っていって、法的にも根拠があるはず。まぁ、詳しくは読者各位の顧問弁護士にお尋ねください。

そもそも、僕が今住んでいる土地を選んだ理由の一つは、この「沢」があったことです。安定した水量が、通年確保できることが分かっていたから。(さらに言えば、上流に人家や田畑が無いので、汚染の心配も少ない)

ちなみに、日本の大半の地域では1月か2月ごろが最も水が少なくなるので、この時期に沢に水があれば他の時期も大丈夫、という判断ができます。田舎の土地を探す際は1月か2月に水のチェックをしましょうね。

理想をいえば、湧き水が敷地内にあれば一番良かったんですけれどね。そのままでキレイだし、温度も一定だし。斜面を横方向にボーリングすれば湧いて出てくるとは思いますが、まぁ今の所、まだその事業には手をつけていません。

湧き水と沢水の違いを一応、説明しておきますと、湧き水ってのは地下の伏流水が地表に出てきたものです。雨水が地面で濾過されて、普通は超キレイです。そのまま飲めます。

一方、沢水ってのは、湧き水や雨水が集まってきて、小さな流れになっているやつですね。これは湧き水と違って、汚染の心配があります。上流に田畑があれば、当然、肥料とか農薬とかが入ってきます。人家があれば、排水が混じります。また、うちのように田畑も人家も無くても、動物の糞尿が混じることはあります。微々たるものですし、基本的にキレイですし、僕は特に気にせず生水を飲んで今まで問題はありませんが、沸かして飲んだ方が安全でしょうね。

沢水を使うにあたり、どうにか濾過や消毒で安全な水にできないものかと試行錯誤したんですが、ただいま山奥生活9年目、これといった成果が出ておりません。砂とかで濾過させる方法も試したけれど、すごく水量が少なくなってしまうし、苔とか水棲生物のマンションになって、どうにもメンテナンスが大変だったので断念。ウイルスとかまで濾過できるフィルターってのも検討したけど、超高い。100万ぐらいする。で、もうその都度、沸かせばいいじゃんってことに落ち着いています。

一応、台所の蛇口には濾過機をつけているので、細菌とかはこれで濾過できていると思うんですけれどね。そんな感じで、沢水をできるだけ安全に、と思って利用しています。

我が家を建てる時には、地元の水道屋さんに依頼して、100メートルぐらいホースで水を引いてきたんですわ。この「水道屋さん」というのも、以前に書いた「電気屋さん」と同じく、個人の職人さんでして、他の仕事を掛け持ちしている場合も多いです。

で、500リットルのタンクを家の脇に設置して、そこに水を貯めます。うちは500リットルタンクにしたんですが、今にして思えば、1000リットルの方が良かったですね。普段は500で問題ないんですけれど、台風とかで水が止まる(取水口が詰まる)時には、1000あった方が安心です。数万円ぐらいの差なんでね、ぜひ水道の無い地域に住む人は1000リットルタンクを備えてください。

そして、その水を家庭用ポンプで圧力をかけて、家の中に配水します。これは浅井戸用ポンプ、ともいいます。この辺の配管も水道屋さんに頼みましたわ。

簡単にお湯のことにも触れておきましょう。お湯は、うちは薪ボイラー使用。ボイラーに160リットルの水が入るんですが、それを薪で80度ぐらいまで加熱するんですね。お風呂に使う水が180リットルとしましょうか。で、水温が20度としましょうか。その場合、水(20度)120リットルと、お湯(80度)60リットルを混ぜれば、お風呂(40度)が180リットルできるって計算です。

これは、いわゆる薪風呂じゃないですよ。薪風呂は、薪で直に焚く風呂で、台所とかにお湯を配水できませんので。薪ボイラーは、配水できる。ただ、風呂の追い炊きはできない(お湯の加水しかできない)。「薪風呂なの?」と質問されることもあるんですが、正確には「薪で加熱したお湯と沢水を混ぜた風呂」です。家の中の見た目は、ごく普通の風呂。

ボイラーは、薪は無限にあるので燃料費の節約という意味では良いし、火をつけるのも楽しいから好きなんですが。雨の日は火が付きにくくて嫌ですね。できれば、薪と灯油兼用のボイラーか、普通にガスボイラーや電気ボイラーでも良いと思いますよ。好きじゃなければ、薪ボイラーにする必要は無いと思います。やっぱり大変ですから。

ついでに下水道のことも少し。上水道が無いのに、下水道があるわけないですね。うちでは、下水には浄化槽を取り付けて、キレイにして近くの谷(この水を使う下流の人はいない)に排水してます。まぁこれも理想を言えば、この下水とか、沢水のオーバーフローを集水して池でも作ったら面白いと思うんですが、なかなか暇がなくて実現せず。

以上、駆け足で説明しましたが、山奥の水事情の話でした。また明日。チャオ!